2024 年 67 巻 11 号 p. 476-488
糖尿病患者の経験・思いを知る事は,診療と施策の改善に向け真に重要な点を見定めることに繋がる.糖尿病の診療と生活の体験に関する自記式調査を1型1,099名・2型1,436名に実施した.医療機関での糖尿病に関する相談相手としては,「医師」との回答が9割を超える一方,医師以外は少数だった.受診中断経験は1型3.2 %・2型8.7 %であり,診療の優先度の理解不足・経済上の要因が理由に挙がった.再受診の契機は呼びかけ等の医療者との関わり,体調の悪化が多かった.医療費を「大変負担に感じる」割合は1型33.8 %・2型13.4 %であった.社会における糖尿病の偏見は1型・若年で感じる割合が高く,1型21.9 %・2型12.0 %が医療者の中に偏見があるに「そう思う・ややそう思う」と回答した.多職種での患者への関わり,具体的な困難の解決に繋がる検討が求められる.患者の感じる偏見は,まず医療者から取り組むべき課題である.