2024 年 67 巻 12 号 p. 497-504
【目的】スリーブ状胃切除術(SG)前後の骨格筋量や筋力,身体活動の変化と骨格筋の質(MQ)に関係する要因について縦断的に検討した.【方法】高度肥満症に対しSGを施行した女性57名を対象に,体組成評価,筋力評価,上下肢MQ(筋力/上下肢筋量)評価,国際標準化身体活動質問票による評価をSG前後に比較した.さらに各独立変数の変化量(SG後6ヵ月の値-術前の値:⊿)と⊿下肢MQとの関連について重回帰分析を行った.【結果】SG後6ヵ月に体重,BMI,上下肢骨格筋量,骨格筋量,体脂肪量,座位時間は術前より有意に減少した.一方では相対筋力,上下肢MQ,総身体活動量は有意に増加した.年齢とその他の測定項目で調整した重回帰分析の結果,⊿下肢MQと⊿座位時間(β=-0.28),⊿BMI(β=-0.22)に有意な関連が認められた.【結語】SG後6ヵ月において,BMI減少と座位時間が短いほど下肢MQが増加したことが明らかとなった.