糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
症例報告
アナモレリンとSGLT2阻害薬の併用により,糖尿病性ケトアシドーシスに至った担癌2型糖尿病女性の1例
佐藤 文哉佐藤 淳子山崎 望菅原 優貴子船山 崇後藤 広昌綿田 裕孝
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 67 巻 6 号 p. 252-256

詳細
抄録

症例は68歳女性.67歳時に脳転移を伴う肺腺癌と診断され,化学療法が行われた.罹患歴約8年の2型糖尿病があったが,投薬なしでHbA1c 7 %前後であった.その後,化学療法にデキサメタゾンが加わり,血糖コントロールが悪化,シタグリプチン投薬開始となった.癌悪液質を併発し,グレリン作用を有するアナモレリン塩酸塩の内服が開始されたところ,13日後に血糖上昇を認めイプラグリフロジン開始,その4日後,糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)で緊急入院となった.入院後は内服薬中止し,インスリン加療を行いDKAは改善した.本症例ではデキサメタゾン加療中の担癌患者へのアナモレリン塩酸塩,sodium glucose cotransporter(SGLT)2阻害薬の投与がDKAの原因と推察された.癌終末期における薬剤の複合的な使用はDKA発症につながる可能性があり,注意喚起が必要と考え報告する.

著者関連情報
© 2024 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top