糖尿病
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診断・治療(食事・運動・薬物)
糖尿病性腎症教室受講者の中でその後血液透析導入となった症例の特徴
鈴木 陽彦人見 麻美子宮塚 健守屋 達美
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2025 年 68 巻 6 号 p. 210-218

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抄録

糖尿病腎症(腎症)による腎機能低下抑制や血液透析(HD)導入遅延を図るため,集団指導(腎症教室)と個別指導(外来経過観察)を行っている.本研究は腎症教室受講者の中でもHDに至った症例の特徴を明らかにすることを目的とした.2002~2010年の当院腎症教室受講者96例を対象に,ROC曲線から得られたカットオフ値(尿蛋白排泄量[UP]1.3 g/日,腎症教室半年前~受講時のeGFR変化率[ΔeGFR]-0.3 mL/min/1.73 m2/月)を用い4群に分類し,各群でHD例とHD非導入例の臨床的特徴を比較した.腎症教室時に既にUP 1.3 g/日以上の例はHD導入リスクが高く,導入までの期間が短かった.一方,UP 1.3 g/日未満の例でも,HD例はΔeGFRに関わらず1年後UPが多い傾向であった.集団教育参加者においても,UP変化量がHDに至るような病態変化に影響を及ぼすことが示唆された.

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© 2025 一般社団法人 日本糖尿病学会
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