2025 年 68 巻 8 号 p. 325-333
【目的】2型糖尿病患者において自然災害に対する準備状況を調査し,医療側から災害対策についての注意を喚起すべき臨床像を検討した.【方法】2022年9月~10月に,薬物治療中の2型糖尿病340例と非糖尿病の生活習慣病患者56例を対象に自然災害に対する意識と準備状況に関するアンケート調査を行った.【結果】2型糖尿病において災害対策を行っていた例は47 %で,非糖尿病の57 %に比して有意差を認めなかった.多変量ロジスティック回帰によれば,災害対策が不十分であった糖尿病患者の特徴としては,年齢(オッズ比(OR)=0.98),喫煙者(OR=1.72),高血圧症(OR=1.72),高尿酸血症(OR=1.77)が挙げられた.【結論】2型糖尿病患者の中でも非高齢者,喫煙者,高尿酸血症や高血圧合併例では自然災害に対する準備が十分でない可能性があり,医療側から注意喚起を行うことが望ましい.