糖尿病
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慢性膵炎の膵内分泌機能
松田 精
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1974 年 17 巻 4 号 p. 345-354

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抄録

慢性膵炎の膵内分泌機能を検討し, また膵内分泌機能と膵外分泌機能との関連を検索した. ぶどう糖負荷試験では45例中正常型5例 (11%), 境界型12例 (27%), 糖尿病型28例 (62%) であり, 何らかの耐糖能障害を有するものは89%と高率を示すが, 高度の耐糖能障害を示すものは比較的少ない. その際のインスリン反応は27例中正常型4例 (15%), 低反応型19例 (70%), 遅延型1例 (4%), 過剰反応型3例 (11%) であり, 軽度の耐糖能障害にもかかわらずインスリン反応の低下している例が多い. トルブタマイド負荷試験は6例に施行し, 5例ではインスリン反応は低下していた. アルギニン負荷試験を6例に施行し, 5例ではインスリンおよびグルカゴン反応が共に低下していた.
以上の結果より, 慢性膵炎ではα細胞もβ細胞も共に障害されることが示唆された. 膵性糖尿病と一次性糖尿病のインスリン反応を比較すると. 膵性糖尿病で低値の傾向を認めた. 膵外分泌障害が強くなると耐糖能が低下する傾向を示すが, インスリン反応との間には一定の関係は認められなかった. 膵石症のうち小結石型のものは大結石型にくらべ耐糖能障害が強く, インスリン反応も低下しているものが多い. 糖尿病性網膜症を3例に認めた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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