1975 年 18 巻 2 号 p. 142-147
確実な糖尿病患者97例について, 良好なコントロールを維持している時期に行った100g経ログルコース負荷後の血中インスリン反応を糖尿病性網膜症の有無により比較した.
その結果, グルコース負荷後の血糖曲線は両群間でよく類似し相異を認めなかったが, 血中インスリン反応は, 網膜症を有する群において, 網膜症を有しない群に比べ, グルコース負荷後の各時点で有意に低反応であった. また初診時空腹時血糖値別および推定罹病期間別にみた血中インスリン反応は, 網膜症を有する群においても, 網膜症を有さない群においても, それぞれの群の中のものについてみると, 有意な差を認めなかった.
以上, 網膜症を有する群で認められた血中インスリンの低反応は網膜症と同様の血管障害が膵ラ氏島に起ったためか, また血中インスリンの低反応のものに網膜症が発症しやすかったのかはなお不明である.