抄録
これまで, 消化管グルカゴンのインスリン分泌能に関して, 種々報告がなされているが, その成績は必ずしも一定していない. これは, 用いられた消化管グルカゴンの純度に問題があったためと考えられる. そこで我々は, 豚小腸より消化管グルカゴンをKennyの方法を用いて酸-アルコール抽出を行い. さらにCMセルロ_ス, つづいてaffinity chromatographyを用いて精製した. インスリン分泌促進能は, ラット膵切片を用いるin vitro系において検討した. amnitychromatographyにより、蛋白あたりのlmmunoreactive glucagon (IRG) 含量は, 酸-アルコール粗抽出物に比して約170倍に精製され. この製剤中におけるセクレチン, パンクレオザイミン, インスリン含量は, それぞれ測定感度以下であった. 膵グルカゴン250mμg/mlでは明らかにラット膵切片よりのインスリン分泌を促進するにもかかわらず, affinity chromatographyにより精製された消化管グルカゴソは. 10.50.250mμg/mlのいずれのIRG濃度にても, インスリン分泌促進能を示さなかった.