1976 年 19 巻 2 号 p. 233-240
インスリン製剤中の不純物 (a-, b-component), 市販インスリン (アクトラピッド) およびMonoc.omponent Insulin (アクトラピヅド) でウサギを免疫し, インスリン抗体産生能を比較した.ウシa-componentが最も強い抗原性を示し, これによる免疫ウサギでは免疫後早期に強い抗体産生がみられた.ブタacomponentで免疫したウサギではウシa-componemt免疫ウサギに比し, 抗体産生は遅れたが, 比較的強い抗体産生を示した.市販インスリン免疫ウサギは全例で抗体産生を示したが, a-component免疫ウサギより弱い抗体産生にとどまった.Monocomponent Insulin免疫ウサギでは5例中3例で抗体産生がみられたが, 市販インスリン免疫ウサギに比し, 弱い傾向がみられた.
ウシb-component免疫ウサギでは糖負荷後血糖下降の遅延がみられたのに対し, ウシa-component免疫ウサギでは血糖下降の遅延はみられず, 糖負荷後反応性低血糖がみられた.
ウシa-componemtはインスリン抗体を容易に生ぜしめるが, この抗体は耐糖能に影響を及ぼし難いものと思われた.