糖尿病
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成人型糖尿病に対するGlipizideの治療効果
二重盲検法による検討
阿部 祐五平井 一郎菊池 仁久保田 奉幸栗城 篤菅原 泰男竹本 吉夫玉沢 佳己内海 信雄後藤 由夫小沢 光
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1976 年 19 巻 4 号 p. 449-462

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抄録

Glipizideの成人型糖尿病の血糖コントロールに対する効果および副作用を9機関に於て243例に就て, Tolbutamideを対照薬として2重盲検法により比較した. 症例の等質性の検討でT群とG群の構成に偏りがあったので概括的検討と共に薬効に影響すると思われる因子に就て層別して検討を行なった. 概括的薬効検討では,(1) 総合判定,(2) 4週から12週までのコントロール状態がgood以上である週数,(3) 投薬開始後good以上になるまでの週数のいずれにおいても, G, T両群間に有意の差は認められなかった. 層別による薬効検討では, 罹病期間を6カ月未満, 6カ月~3年未満, 3年以上に分けた場合, 6カ月~3年未満の群に於て血糖のコントロール状態を示す何れの指標においても危険率5%でG, T両群間に有意差が認められGがTより優れた血糖コントロール効果を有することが示された。薬効に関連すると考えられる自・他覚症状はG, T両群間に差は認められないが, 既治療群は未治療群に比べて症状が改善し難い傾向を認めた.副作用はG, T両群間に差なく, 一般にSU剤に認められる以外の特異なものは認められなかった. 低血糖症状はG群においてやや多い傾向が認められた. 臨床検査では, G群においては総コレステロール, 中性脂肪の有意の減少, T群においては中性脂肪の有意の減少を認めた. またG群に於いてGOTおよびGPTが異常値を示す症例, T群に於ては赤血球および白血球が異常値を示す症例を若干認めた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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