糖尿病
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インスリン自己免疫症候群およびインスリン治療患者における血中Anti-acomponent Antibodyにっいて
富長 将人平田 幸正
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1977 年 20 巻 1 号 p. 10-16

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抄録

インスリン自己免疫症候群6例とインスリン自己免疫抗体を有するが低血糖発作のみられない8例, 計14例および市販インスリンによる治療をうけている糖尿病患者14例の血清蛋白について1251-a. componeat結合率を求めた. いずれの場合も全例において正常者の血清蛋白よりも高い結合率を示したが比較的大量のcold Monocomponent Insulin (MCインスリン) を添加してincubationの後125ra-component結合率をみると正常者では24%以下であるのに対しインスリン治療者では14例中13例で27%以上であった. 一方, インスリン自己免疫血清では14例中13例で24%以下で, 1例のみ27%であった. またMCインスリン治療でインスリン抗体を生じた1例では22.1%であった. 以上から市販インスリン使用例では抗a-compone厩特異抗体を産生するのに対しインスリン自己免疫例およびMCインスリン治療例では抗a-component特異抗体を産生しないと考えられた. また従来の市販インスリンよりMCインスリンへ転換した患者血清においてはMCインスリンへの転換後1年間の観察では125I-a-component結合率でみる限り抗a-component特異抗体の減少傾向は認められなかった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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