糖尿病
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岡山県における小児糖尿病の疫学的調査
後藤 彰夫河西 浩一岡田 奏二石田 俊彦川村 攻仁科 喜章町田 周治柳生 史登大藤 真
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1977 年 20 巻 1 号 p. 37-41

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抄録

岡山県における小児糖尿病患者の疫学的調査を行うため, 県下の内科・小児科を標榜する全医療機関と, 小, 中, 高等学校ならびに特殊学校ヘアンケートを郵送した. アンケートの回答率は医療機関51.6%, 学校関係90.0%(特殊学校は高令者を含むため除外した) であった. アンケートの回答をもとに個別調査を行い以下の結果を得た.
昭和50年12月現在, われわれが把握し得た症例数は21例, うち男10例, 女11例であった. 発症頻度は小児10万人あたり約7人で, 小, 中学生だけに限ると5.2人であった. 発症年令にはとくにピークは認められなかった. 発症の季節は, 検尿によって発見された者を除くと, 秋から冬にかけての発症が多かった. 21例中7例は検尿により発見されている. 残り14例はなんらかの自覚症状を訴えて受診しており, うち4例は昏睡状態であった.
病型では16例が若年型, 5例が成人型と考えられ, 成人型では全例に遺伝歴, 肥満歴が認められたが, 若年型ではそれらを有しないものが8例, 感染症にひきつづいての発症が2例あり, 秋, 冬の発症ともあわせて, ウイルス感染を契機とした糖尿病の発症が示唆される.
治療面では, インスリン注射が15例, 経口剤投与と食餌療法のみがそれぞれ3例であった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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