抄録
OGTTにおける正常型, 境界型, 糖尿病型を呈するそれぞれ99名, 56名, 82名, 計237名にIVGTTを施行し, その血糖曲線, 末梢血インスリン曲線を制御理論に基づいて解析し, 個体の血糖調節能の定量的把握を試み, 次のような結果を得た.
1) IVGTT時の血糖曲線は, 従来片対数グラフ上で直線である. すなわちブドウ糖利用恒数 (k値) は一定である, と考えられてきたが, 血糖調節能の正常者においては, 片対数グラフ上で, 上に凸の曲線を示す.これは血糖調節のnegative feedbackの定数が時間的に大きくなると考えることにより説明できる.
2) このnegative feedbackの定数の時間的変化は, 血糖調節能が低下するほど小さくなる.
3) インスリン分泌の動特性をWeighting Functionとして求めたところ, 血糖調節能の軽度低下したものにおいて, すでに単位血糖上昇率に対するインスリン分泌のゲインが小さくなり, かつ時定数が著明に大きくなることを認めた. さらにnegative feedbackの定数の時間的変化が, 血糖上昇率に応じて追加分泌されたインスリンの作用によることを示唆しえた.
以上IVGTTを制御理論を応用した新しい方法により解析し, 血糖調節能とインスリン分泌の動特性との関連性を定量的に把握することができた. かかる方法は, 糖尿病の早期診断や発症にいたる経過の研究に有効な方法と考えられた.