糖尿病
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インスリン治療糖尿病患者における血清Free CPRの臨床的意義
中島 行正尾山 秀樹天工 厚子松村 茂一西田 聖幸堀野 正治中沢 信彦
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1978 年 21 巻 2 号 p. 97-104

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抄録
28例のインスリン治療糖尿病患者に509ブドウ糖負荷試験を行い, それらの血清のインスリン抗体-proinsulin-like components (PLC) 結合物を除去する前後のC-peptide immunoreactivity (CPR) をTotalおよびFreeCPRとして測定した.同時にTotalおよびFreeIRIを測定し, Free CPR測定の臨床的意義について検討した.
インスリン治療糖尿病患者の空腹時TotalCPRは3.6±4.4ng/ml (M±SD) で健康者のそれ (2.0±0.4ng/ml) より高い傾向を示した.しかしFrccCPRは1.5±0.9ng/mlと有意に低値であった.ブドウ糖負荷後もFrce CPRはTotal CPRより明らかに低値であったが, それらの反応パターンはほぼ平行し, 両者とも頂値は糖負荷後120分に認められた.またFree CPRとFrcc IRIの反応は一般によく一致し, いわゆる遅延, 低反応を示していた.インスリン治療糖尿病患者では, FreeCPR/TotalCPRの割合は, 空腹時57.8土23.8%, 糖負荷後90分で最大値72.8±26.0%を示した.
これらの患者6例の血清を, 酸性アルコール抽出後ゲル炉過したところ, 全例でPLC分画の増加を認め, その増加の大きいものほどTotal CPRが高い傾向を示した.
インスリン治療糖尿病患者のFreeCPRは血中C-ペプチドの動態をより正確に示し, このような患者の膵島B細胞機能を知るために有用であると考えられる.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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