抄録
血中insulinの測定は現在radioimmunoassay, radioreceptorassayによってなされているが, 標識imulin作製上放射性ヨードを使用しなければならない.一般測定室で簡便にinsulinを測定するには放射性同位元素以外のmarkerを必要とする.われわれはinsulin抗体にpero×idaseを結合させた標識抗体を用いるenzyme immUnoassay kitlこよって血清および血漿中のinsulinを測定し, 2抗体法によるradioimmunoassayと比較した.
本酵素法によるintra-およびinterassay varianceは血漿insulin31μU/mlで各々4.2%, 7.2%, 85μU/mlの血漿では各々3.2%および4。1%であった。希釈試験においては21~129μU/mlの範囲で期待値と実測値の間でよい直線関係が得られた.したがって高insulin濃度の血漿を検量線内で測定するための希釈液として低insulin濃度の血漿を使用することができる, 試料として血清, 血漿いずれを用いても差はなかった.回収試験結果は平均99.5%と良好であった.10090-GTTを施行した60症例, 358検体の血漿insulinの本酵素法 (y) とradioimmunoassay (x) による測定値の分析より, 回帰直線y=0.918x+3.60, r=0.955と両法はよく一致した.本法は一般検査室でのinsulin測定法として, 今後臨床応用が期待される.