糖尿病
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21 巻, 6 号
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  • 松田 文子, 葛谷 健, 坂本 美一, 吉田 尚
    1978 年21 巻6 号 p. 537-544
    発行日: 1978/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    正常者と糖尿病患者の24時間尿Cペプチド免疫活性排泄量 (UCPR) を測定した.正常者のUCPRはクレアチニン排泄量 (Cr), 身長, 肥満度と有意の正の相関を示した.正常者の24時間尿CPRは74.7土26.3μg, クレアチニン排泄量に対する比は53.5土13.8μg/gCrであった.若年型糖尿病, 膵炎後のインスリン依存性糖尿病ではUCPRは著しく低かった.成人型糖尿病では非肥満群のUCPRは有意に低かったが, 肥満群では正常との間に有意差はみられなかった.ケトーシスのない糖尿病患者のうちインスリン治療群ではUCPRは低い者が多く約2596では若年型糖尿病と同程度であった.経口剤または食事治療群ではUCPRが正常かそれ以上の例が多かった.UCPRと罹病期間, 網膜症の重症度との間に相関はなかった.正常者と糖尿病患者の尿CPR排泄率の日内変動を日常食事生活下の分割蓄尿により検討した.正常者は夜間絶食期には1.14μg/hrと最低の排泄率を示し, 各食事後に2~3倍に増加した.絶食期に対する昼間摂食期の排泄率の比は正常者では平均3.33, 若年型糖尿病で149であり, 成人型糖尿病ではその中間の値を示した.軽症成人型糖尿病患者では絶食期のCPR排泄率は低下していなかったが, 食後の相対的増加は低下する傾向を示した.尿CPRは膵内分泌機能を知る上で有用な指標であり, 分割蓄尿を組み合わせることによりさらに多くの情報が得られると推定される。
  • 木村 公子, 岡 芳知, 赤沼 安夫
    1978 年21 巻6 号 p. 545-551
    発行日: 1978/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    血中insulinの測定は現在radioimmunoassay, radioreceptorassayによってなされているが, 標識imulin作製上放射性ヨードを使用しなければならない.一般測定室で簡便にinsulinを測定するには放射性同位元素以外のmarkerを必要とする.われわれはinsulin抗体にpero×idaseを結合させた標識抗体を用いるenzyme immUnoassay kitlこよって血清および血漿中のinsulinを測定し, 2抗体法によるradioimmunoassayと比較した.
    本酵素法によるintra-およびinterassay varianceは血漿insulin31μU/mlで各々4.2%, 7.2%, 85μU/mlの血漿では各々3.2%および4。1%であった。希釈試験においては21~129μU/mlの範囲で期待値と実測値の間でよい直線関係が得られた.したがって高insulin濃度の血漿を検量線内で測定するための希釈液として低insulin濃度の血漿を使用することができる, 試料として血清, 血漿いずれを用いても差はなかった.回収試験結果は平均99.5%と良好であった.10090-GTTを施行した60症例, 358検体の血漿insulinの本酵素法 (y) とradioimmunoassay (x) による測定値の分析より, 回帰直線y=0.918x+3.60, r=0.955と両法はよく一致した.本法は一般検査室でのinsulin測定法として, 今後臨床応用が期待される.
  • インスリン結合抗体の特異性ならびに臨床的意義
    岡田 究
    1978 年21 巻6 号 p. 553-566
    発行日: 1978/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリン結合抗体の特異性ならびに病態との関連性について検討する目的で, インスリン治療糖尿病患者 (81例), インスリン自己免疫症候群 (3例) を対象に二抗体法でインスリン結合抗体を測定し, インスリン結合抗体と諸種動物インスリンとの親和性, インスリン負荷試験により外因性インスリンとインスリン結合抗体との反応性および509-OGTTにより内因性ヒトインスリンとインスリン結合抗体との反応性を検討した.インスリン治療糖尿病患者の69例 (85.2%) とメチマゾール治療甲状腺機能充進症の3例 (1.9%) にIgG型のインスリン結合抗体を認めた.インスリン結合抗体は3つのTypeに分類された.TyPe I: ヒト, ウシ, ブタ, ヨード化ブタインスリンにほぼ同様に強い親和性を示す抗体, TypeII: 動物種によって明らかに異なる親和性を示す抗体.TypeIII: ヒト, ウシ, ブタインスリンに親和性を示さずヨード化ブタインスリンにのみ強い親和性を示す抗体であった.インスリン結合抗体産生の背景に慢性感染症, 慢性疾患の合併が考えられたが, TypeIIIでは抗体産生にこれら合併症の関与が強く示唆された.外因性インスリンとインスリン結合抗体との反応性では, TypeI, IIのインスリン結合抗体によりインスリンの血糖降下作用は阻止されたが, TypeIIIの抗体では阻止されなかった.内因性ヒトインスリンとインスリン結合抗体の反応性では, インスリン結合抗体陽性糖尿病患者の50%に内因性ヒトインスリンと交叉する抗体が証明され, 中でも交叉性が強い症例ではインスリンより経口血糖降下剤への切り替えが可能であった.以上のことから市販インスリンによって産生されたインスリン結合抗体にヨード化インスリンとの親和性や内因性ヒトインスリンとの交叉性等の特異性がみいだされ, これら抗体の特異性と糖尿病病態との関連性が示唆された.
  • (1) 臨床統計学的検討
    高取 悦子, 高橋 千恵子, 劉 瑞恵, 林 正雄, 水野 美淳, 平田 幸正
    1978 年21 巻6 号 p. 567-574
    発行日: 1978/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性網膜症の発症, 進展に性差が存在するか否かを明らかにするため, 糖尿病患者2,962例についての初診時眼底所見および当科通院中の糖尿病者における1年間と5年間の網膜症の進行率を検討した.初診時の網膜症の頻度は初診時空腹時血糖値140mg/dl以上のものでは罹病期間の延長にともなって, 男性にくらべ女性で有意に高率であった.また網膜症を有するものにおけるScottIII以上の網膜症の占める頻度も女性で高率であった.特に高度の視力障害をともなうScottIV以上の重症網膜症を呈するものは罹病期間の短いものでは女性に高率にみられ, 特に39歳以下のもので, かつ罹病期間4年未満のものでは女性に有意に高率であった.しかし, 当科通院中の糖尿病患者における1年間および5年間の綱膜症の進行率については, 男女間で有意の差を認めなかった.
    以上のように, 初診時の眼底所見では網膜症の頻度, 重症度において男女差を認めたが, それが真の性差を示すものであるか否かについてはなお検討を要する。
  • (2) 血中エストロゲンと糖尿病性網膜症との関係
    高取 悦子, 杉本 智惟子, 高橋 千恵子, 佐久間 正志, 林 正雄, 水野 美淳
    1978 年21 巻6 号 p. 575-581
    発行日: 1978/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1報に述べたごとく糖尿病性網膜症の頻度に男女差が存在することより, 糖尿病者における網膜所見と血中エストロゲン値との関係を検討した.血中総エストロゲンの測定はestrone-17-O-carboxymethy1-oxin-BSAを抗原としたウサギ抗血清を用いて, 3H-estriolをトレーサーとしたradioimmunoassayによった.また血中E2はsephadexLH-20によりE2分画を分離し, radioimmunoassayにより測定した.
    (1) 有経期女子では月経開始7日目の血中エストロゲン値は男性および閉経後の女子にくらべ著しく高値で, かつ個人差も大であったが, 男女とも健常者と糖尿病者の間で差を認めなかった.
    (2) 糖尿病性網膜症の病期の進展と血中総エストロゲン値およびE2値との問に有意な関連はなく, かつ網膜症の進行例においても, 網膜症の非進行例にくらべ血中エストロゲン値に差がみられなかった.
    (3) 糖尿病のコントロールの状態と血中エストロゲン値との問にもiらかな関連はみられなかった.
  • 北室 文昭, 安部 喬樹
    1978 年21 巻6 号 p. 583-588
    発行日: 1978/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者では, 甲状腺機能低下症を合併する頻度が非糖尿病者に比較して高いことが, Gauzら, Pirartらによって指摘されている.本邦においては, 両者の合併例の報告は比較的数少なく, これまでに12例が発表されている.
    ここに報告する症例は, 57歳の時偶然糖尿病を発見され, 8年後, 65歳で甲状腺機能低下症の合併を指摘された.軽度の貧血と浮腫傾向があり, 甲状腺腫はみとめられなかった.おMRは-34%と著明に低下し, T3 65ng/dl, T4 0.3μg/dl, triosorb test 19.2% と低値を示した.一方, TSHは460μU/mlと著増し, 一次性甲状腺機能低下症と診断した.抗甲状腺抗体は陽性で, 橋本甲状腺炎の終末像として甲状腺の機能低下が起こったものと考えられる.血清cholesterolは204mg/dlと高くなく, このことが甲状腺機能低下症の存在を, 比較的長く見逃がされていた原因でもあった.50gGTTでは, 1時間値190, 2時間値220mg/dlと耐糖能の障害は比較的軽度であったが, IRIは遅延反応を示し, IRI/BS (30分) =0.17であった.また眼底にScott IIbの網膜症をみとめていることからも, 一次性糖尿病の存在は確実と考えられる.
    甲状腺末の投与によって, 約10kgの体重減少をみ, 血清cholesterolは201から138mg/dlに下降した.心電図でT波の著明な改善と, 胸部レ線所見で心陰影の縮小をみとめた.
  • 大西 泰憲, 三好 康夫, 藤田 周一郎
    1978 年21 巻6 号 p. 589-596
    発行日: 1978/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    皮膚の限局型アミロイド症の一型であるmacular amyloidosisが糖尿病者に比較的多く認められることを報告した。
    好発部位は, これまで知られているように肩肝間, 肩, 上腕伸側で, 肉眼的には皮丘に一致した茶褐色ないし褐色の網目状, 点状色素沈着が特徴的で掻痒は自覚しないか, あっても軽度であった.また組織学的には沈着したアミロイドは真皮乳頭層に滴状または小塊状として認められたが, ヘマトキシリン・エオジン染色では識別困難で, ワン・ギーソン染色 (淡黄色), クリスタル紫, メチル紫 (淡赤紫色) などの染色を要し, 特にチオフラビンーT染色による螢光顕微鏡観察では特有な黄色の螢光を呈し, 微量沈着の場合も検出可能であった.臨床上特徴的な色素斑は, アミロイド沈着部にみられるメラニン色素の滴落によるものと思われた.
    アミロイド生成に関しては, 今日なお未解決の部分が多く, 糖尿病者にmacularamyloidosisの多くみられる理由もまた不明である.糖尿病者はしばしば各種の皮膚疾患を合併し, これら皮膚の慢性炎症や掻痒などの刺激が皮膚にアミロイドを沈着させる原因となっているのかも知れない.
    しかし, 糖尿病者の膵ラ氏島には高頻度にアミロイドが沈着しているという報告もあるので, 糖尿病的代謝異常がこれらの部位のアミロイド沈着に関与している可能性もあながち否定できず, 今後の研究が必要と思われる.
  • 1978 年21 巻6 号 p. 597-614
    発行日: 1978/06/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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