糖尿病
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ストレプトゾトシン糖尿ラットにおける大動脈および腎糸球体の組成変化について
佐藤 徳太郎井上 美知子星 晴久斎藤 和子伊藤 正秋国分 勝斎藤 毅吉永 馨
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1981 年 24 巻 12 号 p. 1191-1197

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抄録

ストレプトゾトシン糖尿ラットの胸部大動脈コレステロール含量とヒドロキシプロリン含量および腎糸球体ヒドロキシプロリン含量を測定し, インスリン治療群および対照群と比較した. ストレプトゾトシン注射56日後の大動脈コレステロール含量は1糖尿病群において1.28%と対照群の0。85%に比し明らかに高く, インスリン治療糖尿病群では0.83%とその増加は抑えられた. また, 対照群における大動脈ヒドロキシプロリン含量 (μmoles/mg乾燥重量) は, 13日, 27日, 56日では各々0.249, 0.272, 0.322と日齢の増加とともに有意の増加を示した. 糖尿病群およびインスリン治療糖尿病群では対照群に比し増加は少なく13日では対照群に比し高値を示すものの56日では低値を示した. 対照群における腎糸球体の総アミノ酸に対するヒドロキシプロリン含量の比 (%。) も日齢の増加とともに増加し, 13日, 27日, 57日では各々70.8, 87.5, 96.6であった. それに対して, 27日と56日の糖尿病群では各々71.3%。および90.3%。であり基底膜成分の腎糸球体に占める比率の低下が推定された. インスリン治療糖尿病群においては対照群のレベルに回復していた. 以上の結果より, 糖尿ラットにおいて大動脈コレステロール含量および腎糸球体ヒドロキシプロリソ含量の変化は, 糖尿病発症後4-8週の比転的早期にみられインスリン治療によって正常化することが推定された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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