糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
Glucosylated Plasma Protein測定の問題点と臨床応用
真山 享藤谷 浩依田 敏行豊田 隆謙後藤 由夫
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 24 巻 3 号 p. 357-362

詳細
抄録

ynesらの報告したglucosylated serum (plasma) preteinはhemoglobin AIC (以下HbAi) と相関し, 糖尿病コントロールの指標になり得る.しかし原法のままでは血清 (血漿) グルコースが測定値に影響し, 見掛上高値になる.これはグルコースが5-Hydroxymethylfurfural (以下HMF) に変わりthiobarbituric acid (以下TBA) と反応するためと考えられ, 著者らの測定では5.5mM及び13.75mMのグルコース液からそれぞれ0.52及び0.62mMのHMFが生じた.5名の糖尿病患者血漿を原法で測定すれば, 1.55土0.13nmolHMF/mg Protein (m±SD) であり, グルコースを除去すれば同一試料で1.36±0.04nmolHMF/mg Proteinの値が得られた.したがって本法でglucosylated plasma proteinを測定するには血清 (血漿) からグルコースを透析除去する必要があることがわかった.
affnity chrematographyで血漿アルブミンのみを分離しTBAを用いて測定すると, glucosylated albuminの値が得られるが, この場合はグルコースが除かれているのでグルコースの影響をうけることはない.しかし本法ではアルブミンの回収率が低く, かつ濃縮の必要があり, 日常診療の検査法としては繁雑すぎる。したがってグルコースを除去することによって得られるglucosylated plasma proteinの方が実用的である.糖尿病者 (60名) 及び健常者 (15名) の値はそれぞれ1.43±0.15及び1.09±0.11n mol HMF/mg proteinであった.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
次の記事
feedback
Top