1981 年 24 巻 4 号 p. 457-462
ストレプトゾトシン糖尿病ラットでみられる膵ソマトスタチンの増加がインスリン治療により変動するかどうか検討を行った. Sprague Dawley系雄ラットに, ストレプトゾトシンを静注し糖尿病を作製し, 生理的食塩水あるいはレンテ・インスリン (ノボ) 4単位の連日皮下投与を行った. 4週間投与後断頭し, 血糖, 体重を測定した. 膵及びランゲルハンス島 (ラ島) を2N酢酸で抽出し, ソマトスタチンをラジオイムノアッセィで測定した. 膵及びラ島内ソマトスタチンは, 無治療糖尿病群で増加し, インスリン治療によりコントロールレベルまで減少した. インスリン含量は, 無治療糖尿病群で低下し, インスリン治療群でも低下したままであった. 血糖は, インスリン治療群で低下する傾向を認め, 体重は, 糖尿病群では増加はみられず, インスリン治療群でコントロールと同様な増加が認められた. 糖尿病ラットの膵ソマトスタチンの増加が, インスリン治療によりコントロールレベルまでもどる理由としては, 高血糖状態及び高グルカゴン血症等が是正されるためと考えられた.