糖尿病
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抗インスリン抗体のインスリン受容体への影響
久保田 正幸河西 浩一
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1981 年 24 巻 8 号 p. 825-833

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抄録

インスリン受容体への125I-insulinの特異的結合におよぼす抗インスリン抗体の影響について検討した.
実験は次の4群についておこなった: I群: 1251-insulin (1) と抗インスリン抗体 (1-ab) との90分孵置後ヒト胎盤膜インスリン受容体 (R) 加30分孵置. II群: IとI-ab, Rの同時120分孵置. III群: IとRとの120分孵置後I-ab. 加90分孵置. W群: RとI-ab30分孵置後1回洗浄し, I加120分孵置.
実験結果としてI-abへの125I-insulinの特異的結合は1群, II群, IV群で阻害がみられたが, W群はI, II群より阻害率は軽度であった. これらの結合阻害は添加する1-ab価との間に正の相関を示した. また結合阻害率はインスリン抵抗性糖尿病患者の極期血清>寛解期血清>ステロイド糖尿病患者血清の順であった. I-abを添加することでRからの125I-insulinのDissociation率は増加した. I-abおよびRをScatchard分析しそれらのAfnnity Constant (A・C) を求めると, インスリン抵抗性糖尿病患者の極期のI-abのA・Cは寛解期のA・Cに比し低下していた. 一方I-abを添加するとRのA・Cも対照に比し低下しており, 同時にR数の減少もみられた. さらにA・Cを指標としてRとI-abとの関係を同一次元でみると, Rへの125I-insulinの結合阻害をもたらすI-abは主にHigh Afnnity-Low Capacityの部分であり, また結合阻害されるRの主な部分はLow Affinity-High Capacityの部分であった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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