糖尿病
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糖尿病患者にみられる食物摂取時の頬部疼痛
高橋 貞則小林 哲郎杉本 忠夫伊藤 徳治
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1982 年 25 巻 10 号 p. 1109-1114

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抄録
頬部疼痛は, 全例食物摂取により誘発される. 食事を1口口に含んだ瞬間, まだ噛み始める前に, 耳介前下方にジーンとしみいるような痛みを生じ, そのまま耐えているうちに軽快消失する. これら7例の頬部疼痛は, その特徴より全例舌咽神経痛と考えられる。これら7例は, 一般の舌咽神経痛に比し, 若年者が多いこと, 両側性のものが多いこと, 発症頻度が高いこと等の特徴をもつ. 糖尿病と舌咽神経痛とめ関連では, 全例が長期罹病の糖尿病症例で種々の程度の糖尿病性神経障害をもつこと等の特徴を有しており, その機序は不明であるが, 糖尿病性脳神経障害の1つとしての舌咽神経痛と考えられる. 糖尿病に合併する舌咽神経の障害についての過去の文献的記載は4例のみであり, その中には舌咽神経痛についての記載はない. 今後, 舌咽神経痛について注目する必要があろう.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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