糖尿病
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トリクロール酢酸処理による血漿Glycosylated Protein測定法の基礎的ならびに臨床的検討
飯村 康夫櫻林 郁之介河合 忠折笠 哲夫坂本 美一葛谷 健
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1982 年 25 巻 2 号 p. 87-93

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抄録

Glycosylated protein (G-P) 測定では, 血清または血漿中の遊離ブドウ糖の干渉により測定値が高くなるため, 試料を透析して遊離のブドウ糖を除去してから測定する方法が行われている. しかし透析は長時間を費し, さらに透析中に遊離ブドウ糖の他, 蛋白に付加したブドウ糖も除去される可能性がある.
今回われわれはトリクロール酢酸 (TCA) で試料中蛋白を沈澱させ, 遊離ブドウ糖を分離除去してからG-P測定を行った. この方法では血漿に添加したブドウ糖を完全に排除し得た. 血漿の前処理法の検討では, 未処理群>TCA処理群>透析群の順にG-P値の有意の低値を認めた. さらに透析群を3つの処理群に分けてG-P測定をしたところ, 透析+TCA処理+TCA添加>透析+TCA処理>透析の値を得た. TCAはチオバルビッール酸 (TBA) の発色反応に関与しない故, TCA処理による透析群での測定値の増加は, 水解が促進された結果と思われる.
健常群と糖尿病群の血漿G-P値 (平均土SD値) は各々1.32±0.13, 2.0±0.66n mole RMF/mg proteinで, 糖尿病群を過去1週間の平均血糖値で分類してみると, 100mg以下の群を除いて他の群はすべて, 健常群との間で高度の有意差を認めた. しかし150mg以下の各群間では有意差を示さなかった. 検査当日の血糖値およびHbAI値とG-P値の相関係数は, 各々0.64と0.57であった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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