糖尿病
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25 巻 , 2 号
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  • 飯村 康夫, 櫻林 郁之介, 河合 忠, 折笠 哲夫, 坂本 美一, 葛谷 健
    1982 年 25 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Glycosylated protein (G-P) 測定では, 血清または血漿中の遊離ブドウ糖の干渉により測定値が高くなるため, 試料を透析して遊離のブドウ糖を除去してから測定する方法が行われている. しかし透析は長時間を費し, さらに透析中に遊離ブドウ糖の他, 蛋白に付加したブドウ糖も除去される可能性がある.
    今回われわれはトリクロール酢酸 (TCA) で試料中蛋白を沈澱させ, 遊離ブドウ糖を分離除去してからG-P測定を行った. この方法では血漿に添加したブドウ糖を完全に排除し得た. 血漿の前処理法の検討では, 未処理群>TCA処理群>透析群の順にG-P値の有意の低値を認めた. さらに透析群を3つの処理群に分けてG-P測定をしたところ, 透析+TCA処理+TCA添加>透析+TCA処理>透析の値を得た. TCAはチオバルビッール酸 (TBA) の発色反応に関与しない故, TCA処理による透析群での測定値の増加は, 水解が促進された結果と思われる.
    健常群と糖尿病群の血漿G-P値 (平均土SD値) は各々1.32±0.13, 2.0±0.66n mole RMF/mg proteinで, 糖尿病群を過去1週間の平均血糖値で分類してみると, 100mg以下の群を除いて他の群はすべて, 健常群との間で高度の有意差を認めた. しかし150mg以下の各群間では有意差を示さなかった. 検査当日の血糖値およびHbAI値とG-P値の相関係数は, 各々0.64と0.57であった.
  • 本田 正志, 嶺井 里美, 秋久 理真, 佐中 真由実, 横須賀 智子, 大森 安恵, 平田 幸正
    1982 年 25 巻 2 号 p. 95-103
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の妊娠中に悪化する糖尿病性網膜症の増悪因子を検索する目的で, 糖尿病妊婦19名, 正常妊婦76名, 糖尿病非妊婦57名, 正常健常女子35名を対象として, 血中β-thromboglobulin (β-TG) を観察し, 網膜症との関連を検討し, 次のような結果をえた.
    正常妊婦の血中β-TGは33.4ng/ml (95%信頼区間: 24.7~45.2ng/ml) であり, 正常健常女子の24.4ng/ml (20.7~28.7ng/ml) と比較して有意に高値を示した. 糖尿病非妊婦の血中β-TGは54.9ng/ml (44.7~67.4ng/ml), 糖尿病妊婦では71.2ng/ml (57.8~87.9ng/ml) であり, ともに正常健常女子および正常妊婦に比較して有意に高値であった. 糖尿病非妊婦と糖尿病妊婦の血中β-TGの比較では有意差は認められなかったが, ほぼ同程度の糖尿病性網膜症の合併例を含む糖尿病非妊婦と, 糖尿病妊婦の血中β-TGの比較では, 有意に糖尿病妊婦で高値を示した.
    正常妊婦および糖尿病妊婦ともに, 妊娠初期, 中期, 後期および産褥期を通して血中β-TGに差は認められなかった.
    糖尿病非妊婦では, 網膜症陰性群, 単純性網膜症群, 増殖性網膜症群の順に血中β-TGは高い傾向を示した. 増殖性網膜症群の血中β-TGは網膜症陰性群に比較して有意に高値を示した. 糖尿病妊婦の妊娠中に網膜症の進展した群と進展しなかった群の血中β-TGの間には, 有意差は認められなかった.
  • 市原 利勝
    1982 年 25 巻 2 号 p. 105-111
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    高インスリン血症が冠動脈硬化の危険因子となり得ることが注目されつつあるが, 著者は冠動脈造影所見とOGTT中のIRI反応の関係に検討を加えた.
    (1) 対象は有意冠動脈病変をもつ心筋梗塞症36例と狭心症10例で, いずれも非肥満者を選び健常人9例と比較した.
    (2) IRI分泌動態はΣIRI, ΣBS, ΣIRI/ΣBS, ΔIRI/ΔBSにつき検討した. ΣIRIは3枝障害群と狭心症群ではやや高い傾向を示し, ΣBSは各群共高値を示した. この結果, ΣIRI/ΣBSは対照群と同等ないしやや低値を示した. ΔIRI/ΔBSは対象各群とも有意に低値であった. ΣIRI/ΣBSとΔIRI/ΔBSは対象の約半数が低い値を示したが, 多枝障害になるにつれその率は減少傾向を示した. 一般にOGTTのD型ではΔIRI/ΔBSは低く, しかも他の冠危険因子をより多く合併する傾向にあった.
    (3) IRI反応曲線は対象の各群とも頂値が遅延し, かつ高い値を示すものが多く, 特に多枝障害群のB型やD型で顕著であったが, 心筋梗塞症と狭心症の違いによる差は認められなかった. 対照群との比較では30分値が低く, 120分値が高くこの2点での差がもっとも大であることが知られた.
  • 北沢 明人, 頼経 元, 高松 順太, 名方 潔, 古川 恵三, 藤田 邦彦, 茂在 敏司
    1982 年 25 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者では血漿β-thromboglobulin (BTG) 濃度が健常者より高値を示すとされる.一方健常者の血漿BTG濃度は加齢により増加するといわれる. 著者らは, 糖尿病患者と健常者を対象に血漿BTG濃度を測定し, それぞれ年代別に比較し, 糖尿病性網膜症との関係を検討した結果, 以下の成績を得た.
    (1) 健常者84例では, 加齢とともに血漿BTG濃度が増加した.
    (2) 網膜症非合併糖尿病患者139例の平均血漿BTG濃度は, 各年代とも健常者より高値を示し, 50歳以下では両群間に有意差が認められた.
    (3) 網膜症合併群140例の平均血漿BTG濃度は若年者ほど高値を示し, 50歳以下では網膜症非合併群よりさらに高値であった.
    (4) 糖尿病患者の血漿BTG濃度は網膜症の重症度, 治療方法あるいは血糖コントロール状態と有意の関連はみとめられなかったが, 推定罹病期間の短い群で高値を示した.
    以上の成績は糖尿病における血小板異常の側面を明らかにしたものであり, かつそれが血管障害の二次的な現象ではなく, 先行する可能性を示唆するものである.
  • 丹羽 利充, 前田 憲志, 柴田 昌雄, 土田 勇, 松原 達昭, 坂本 信夫
    1982 年 25 巻 2 号 p. 119-127
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性ケトアシドーシス患者の尿, および血液中に存在する有機酸を, gas chromatography-mass spectrometryにて分析した. 尿中では, 約50種類の有機酸が同定できたが, そのうち糖尿病性ケトアシドーシスの尿中にみられる異常代謝物として, 3-hydroxyvaleric acid, 5-hydroxyhexanoic acid, 2-hydroxy-2-methyllevulinic acidを始めて同定した. これらの有機酸は, 正常者, およびケトアシドーシスを伴わない糖尿病患者の尿, および血液中には検出されなかった. また, 糖尿病性ケトアシドーシス患者でも, インスリン治療により, 非ケトーシスの状態となると, これらの異常代謝物の尿中排泄は見られなくなった.
    また, 糖尿病性ケトアシドーシス患者ではlactic acid, 2-hydroxybutyric acid, 3-hydroxyisovaleric acid, adipic acid, 2, 3-dideoxypentonic acidの尿中排泄の増加が認められた.
  • 景山 茂, 本間 生夫, 谷口 郁夫, 笹生 文雄, 阿部 正和
    1982 年 25 巻 2 号 p. 129-133
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病性自律神経障害の進展した者にみられる呼吸停止の機序を明らかにするために, 100%02再呼吸法を用いてCO2に対する換気応答を観察して化学受容性 (chemosensitivity) の検討を行なった.
    対象は20~30歳台の自律神経障害の進展した糖尿病者5名および同年代の健常者10名である. 糖尿病者の心電図R-R間隔の変動係数はいずれも1.5%以下で, 著しい自律神経障害の存在を認めた. 被験者は安静仰臥位で100%02の再呼吸を行ない, 終末呼気CO2分圧 (PA, co2) および換気量を連続測定した.
    分時換気量とPA, co2の関係を回帰直線により表わし, その直線の勾配を比較すると, 糖尿病群では0.73土0.0471/min/torrで, 健常群の1.79±0.57l/m=nin/torrより有意に低下していた (p<0.01). また, PA, co2が50torrのときの分時換気量を比較すると, 糖尿病群9.14土4.02l/min, 健常群17.65±8.97l/minで, 前者で有意に低下していた (p<0.10).
    これらの成績は, 中枢および末梢の化学受容性のいずれも障害されていることを示しており, この化学受容性の低下が糖尿病性神経障害の進展した者にみられる呼吸停止機序のー因に成り得るものと考えた.
  • 山之内 国男, 佐藤 祐造, 坂本 信夫, 大原 清仁
    1982 年 25 巻 2 号 p. 135-143
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者における血管障害, 特に動脈硬化性血管障害の成因について, 名古屋大学医学部第三内科糖尿病外来にて, 5年以上経過を追跡し得た526名を対象とし, 臨床的観点から, 種々検索を加えた.
    1) 心電図異常, 網膜症共に, 非肥満群に比し, 肥満群で出現頻度が高かった (p<0.02). 前者は, 加齢に, 後者は, 罹病年数に相関したので, 年齢を41-60歳, 罹病年数は11-15年に限定した症例で比較すると, 網膜症は, 肥満, 非肥満両群で差を認めなかったが, 心電図異常は, 肥満群に頻度が高かった. また, コレステロール正常, 血圧正常の者のみで比較しても, 同様の傾向がみられた. 2) 治療方法別の検討では, 心電図異常は, 肥満群で, 薬物療法群 (経口剤もしくは, インスリン治療群) に高頻度であり, 非肥満群では, 食事療法群との差は, 認めなかった. 網膜症は, 肥満, 非肥満両群共, 食事療法群よりも薬物療法群で高頻度であった. 3) 心電図異常は, コントロールの良否で差はないが, 網膜症は, 肥満, 非肥満両群共, コントロール不良の者に頻度が高かった.
    以上の事実は, 糖尿病患者における動脈硬化性血管障害の成因には, 肥満, すなわち, hyperinsulinismさらに内因性, 外因性高インスリン血症を助長するような因子が, 深く関与している可能性を示唆している.
  • 丸毛 和男, 藤井 暁, 佐藤 利彦, 関 淳一, 和田 正久
    1982 年 25 巻 2 号 p. 145-153
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者における胆嚢収縮能を超音波断層法により測定し, 収縮パターンを分類するとともにその異常と合併症など糖尿病の病像との関連を中心に検討した.
    対象は糖尿病患者56例, 健常者42例で, リニア式電子スキャン装置を用い, 早朝空腹時及び卵黄服用後10分間隔で60分まで胆嚢長軸方向走査により胆嚢像を撮影し, 各々の胆嚢断面積をプラニメータにて算出した. 空腹時胆嚢面積については, 両群間で有意差はなかったが, 卵黄服用後の胆嚢は健常群に比し, 糖尿病群ではいずれの時点でも収縮能は不良で, 次の3型の収縮パターンに分類された. すなわち, 卵黄服用後0分で30%以上及び60分で50%以上の収縮のみられたもの, 1型 (正常収縮型): 30例, 30分では30%未満の収縮にとどまるもの, II型 (軽度収縮不全型): 13例, かつ60分でも50%未満の収縮のもの, III型 (高度収縮不全型): 13例であった. アキレス腱反射の消失及び振動覚の低下を認めた例ではIII型が最も多く (19例中8例), これら全員に発汗異常, 起立性低血圧, インポテンツなど自律神経障害と思われる症状の合併がみられ, うち3例は卵黄服用後むしろ拡張傾向を示した. さらにIII型では, 血清トリプシン値, PFDテスト, 膵シンチグラムなどからみた膵外分泌機能障害合併例が多く, この内4例に便秘と下痢の繰り返しを認めた.
    以上より, 胆嚢の高度収縮不全例では自律神経障害合併例が多く, 膵外分泌機能障害との関連も示唆された.
  • 小森 克俊, 中山 秀隆, 青木 伸, 門田 悟, 萬田 直紀, 黒田 義彦, 皆上 宏俊, 牧田 善二, 中川 昌一
    1982 年 25 巻 2 号 p. 155-163
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリンの腹腔内投与により急激にひき起こされた高インスリン血症下において, ラット赤血球および肝細胞膜のインスリン受容体がどのような動態をとるかを検討した.
    肝細胞膜の125I-インスリン結合率は, インスリン投与による急性高インスリン血症により, 10分後で既に対照群の結合率の59.6%まで低下しており, Scatchard plotの解析によると主に受容体数の減少にもとつくものであった. 膜からの125I-インスリンの解離と抽出インスリン量の検討から, 単に外来性インスリンが受容体を占拠したことにより肝細胞膜の125I-インスリン結合率が低下した可能性は否定された. 一方, 赤血球の125I-インスリン結合率は, インスリン投与後も有意の変動を示さず, 肝細胞膜との間に解離がみとめられた. インスリンを投与しない対照群においては, 赤血球と肝細胞膜の125I-インスリン結合率の間に有意の正相関 (r=0.6465, p<0.01) を認めた. 以上より次のごとき結論を得た. (1) インスリン投与により引き起こされた急性高インスリン血症下では, 肝細胞膜のインスリン受容体数はきわめて短時間に減少する. (2) 急激な血中インスリン濃度の変動のない状態においては, 赤血球インスリン受容体は標的細胞の一つである肝細胞膜のインスリン受容体の状態を反映している. (3) 条件によっては赤血球インスリン受容体は肝細胞膜のそれと必ずしも同一の動態をとらない.
  • 渡辺 渓子, 橋詰 直孝
    1982 年 25 巻 2 号 p. 165-172
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    糖尿病のさい, 月経異常をきたすことはよく知られている. しかし, 糖尿病との因果関係は未だ明らかにされていない. そこで, 34歳以下の糖尿病者35例の月経異常の頻度と臨床像を分析し, そのうち基礎体温 (以下BBTと略す) で無月経が確認された11症例に, gestagen testおよびLH-RH testを施行した. さらに, 1年以上BBTを記録した6症例について, 自然排卵の有無と糖尿病との関係を観察した.
    糖尿病者の月経異常の発症頻度は62.9%で健常対照者の8.0%に比べて有意に高かった. 糖尿病者の月経異常群の臨床像は, 月経正常の糖尿病者に比して調査時点で空腹時血糖が高値で, 合併症保有率が高く, 生児数が少なかった. gestagen testの結果, 第1度無月経5例, 第2度無月経6例で, 特に後者では高度のるいそうを伴っているのが特徴であった. LH-RH testでは視床下部障害と下垂体障害に解離したが, 後者にLH-RH連続投与試験を施行した結果, 全例視床下部障害型に改善された. 経過観察中に自然排卵を認めた3症例は, 空腹時血糖値が140mg/dl以下にコントロールされており, 排卵障害の持続期間は短かかった. 逆に, 排卵を認めなかった3症例は, 空腹時血糖値が高く, 排卵障害の期間は長かった. したがって, 排卵障害の部位は視床下部で, 長期間排卵障害を放置しておいたり, 栄養障害が加わると, 二次的に下垂体機能が障害されるものと推定された.
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