糖尿病
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糖尿病患者におけるリポ蛋白リパーゼ活性について
野木 孝眞永野 聖司
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1982 年 25 巻 6 号 p. 681-689

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抄録

糖尿病患者についてPostheparin Lipolytic Activity (PHLA) を測定し, インスリン分泌能, 血糖コントロール, 血清トリグリセライド (TG), HDLコレステロール (HDL-C) 等との関連性を検討した.又, PHLA測定時の基質液はイントラリピッドに健常人血漿を加えたものを用いたが, 健常人血漿の代わりに患者血漿を用いることによりアポ蛋白の影響を間接的に検討した.
1) PHLAはΣIRI (p<0.05), ΣIRI/Body weight (p<0.02) と正の相関関係を示した.2) FBS, HbAIとは相関関係を認めなかった.3) HDLCと正の相関関係を認めた (p<0.05).4) 糖尿病患者では血清TGが高値を示す群ほどPHLAが高くなる傾向を示した。5) PHLA高値を示した高TG患者血漿を基質液とした場合, 正常人血漿を基質液とした時よりもPHLAは上昇を示した.6) 著明なPHLA低下を示したネフローゼ患者血漿を用いた場合には, PHLAは抑制された.
以上よりPHLAは血糖コントロールとは関係せず, 単位組織あたりのインスリン濃度とより強い関係を示した.又, 高TG糖尿病やネフローゼでは, アポ蛋白の異常がPHLAに影響する可能性が考えられた。

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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