糖尿病
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Glucosylated Albumin測定法とその臨床的意義
萬田 直紀中山 秀隆青木 伸佐藤 光男門田 悟小森 克俊黒田 義彦皆上 宏俊牧田 善二中川 昌一工藤 守
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1982 年 25 巻 6 号 p. 691-696

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抄録

血清アルブミンは, ヘモグロビン (Hb) AICと同様の機序でグルコースと非酵素的に結合し, glucosylated albumin (G-A) を形成する.われわれは, G-Aについてその測定法および臨床応用への有用性を検討した.
血清アルブミンの分離は, affinity chromatographyで行なった.しかし, これまで報告されている方法では回収率が低く, アルブミン以外のタンパクも混入していた.そこで, 緩衝液を検討しカラム流出液をrecirculationした結果, 比較的短時間で単位ml当り高濃度のアルブミンを得ることができ, アルブミン以外のタンパクはほとんど含まれていなかった.
2.5~15mg/mlの範囲内の同一溶出アルブミンを用いthiobarbituric acid (TBA) 法により, 5-hydroxymethylfurfural (HMF) の吸光度をそれぞれ測定した.この範囲内の濃度のアルブミンとHMFの吸光度との間に直線関係が得られた.同一, 一定濃度の溶出アルブミンを100℃, 1, 3, 4.5, 6時間加水分解を行ない, その吸光度をそれぞれ測定した結果, 加水分解条件を100℃, 4.5時間とした.G-A値とHbAI値との間に有意の正相関 (r=0.84, p<0.001) を認めた.糖尿病入院患者の過去1カ月以内の平均空腹時血糖値 (FBS) とG-A値との関係を検討した結果, G-A値と採血前2週間の平均FBSとの間の相関 (r=0.67) は, 採血時FBS, および過去4週間の平均FBSとの相関に比して高い傾向を認めた.未治療若年型糖尿病入院患者の治療開始直後より, FBS, G-A, HbAIの推移を検討した結果, G-Aの低下率とHbAIの低下率との問には, 1, 2, 3, 4週目で有意な差があり前者の方が高かった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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