糖尿病
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甲状腺疾患と膵ラ島細胞膜抗体 (ICSA)
丸山 太郎武井 泉谷山 松雄片岡 邦三松木 駿浜田 昇伊藤 国彦
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1983 年 26 巻 6 号 p. 633-637

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抄録

膵ラ島細胞膜抗体 (ICSA) はインスリン依存性糖尿病 (IDDM) の発症早期に高率に認められるが, その意義は明らかではない.私たちはICSAの意義を明らかにする目的で, 自己免疫甲状腺疾患のICSAを検索し, 抗マイクロゾーム抗体, 抗サイコグロブリン抗体と比較した.
I.インスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) にバセドウ病を合併した20例.II.糖尿病を合併しないバセドウ病, または慢性甲状腺炎でa) 抗マイクロゾーム抗体が×102400以上の高値を示す12例, b) 抗マイクロゾーム抗体が×25600以下の20例を対象とし, A.Lernmarkの方法によりBALB/Cマウスの膵ラ島細胞を抗原とする螢光抗体間接法でICSAを検索した.
I.NIDDMにバセドウ病を合併した20例中1例, II. (a) 糖尿病を合併しない抗マイクロゾーム抗体高値の12例中4例にICSAを認めたが, II. (b) 抗マイクロゾーム抗体×25600以下の症例にはICSAを認めなかった.抗マイクロゾーム抗体高値例のICSA陽性頻度は, ほかの2群に比べ有意に高率であった (X2=4.57, 7.62, p<0.05, 0.01).
ICSAが糖尿病を台併しない抗マイクロゾーム抗体高値の自己免疫甲状腺疾患で高率に認められたことは, ICSAの出現に免疫異常が密接に関与していることを示唆している.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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