糖尿病
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糖尿病患者における空腹時血清TrypsinおよびElastase I値について
三家 登喜夫近藤 渓森山 悦裕南條 輝志男飯沼 情司里神 永一川嶋 愛己江本 正直宮村 敬
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1983 年 26 巻 6 号 p. 647-654

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抄録

糖尿病患者において, 空腹時血清trypsin (IRT) およびelastase I (IRE) をradioimmmoassayにて測定し, それぞれの糖尿病 (DM) における測定意義について検討した, 膵外分泌機能の指標としては, BT-PABA経口負荷 (PFD) にPABA経口負荷 (PABA) を併せて行い, それぞれの尿中PABA回収率の比 (PFD/PABA ratio) を用いた.
正常者では, IRT, IREともに20歳以下の若年者では低値であり, 加齢とともに増加する傾向を認めた.IRT, IREともに, 急性膵炎では高値, 膵石症では低値であった.肝障害を有するDMでは, IREが高値, 腎障害を有するDMではIRT, IREとも高値であった.
肝, 腎障害のないDMでは, IRTはtype I DMおよび空腹時血糖値が200mg/dl以上のtype II DMにおいて, それぞれage matched control群に比し有意の低値であった.またIRTとPFD/PABA ratioとの問には有意な正の相関が認められた.一方, IREはtype II DMで心電図上虚血性変化を有する群においてのみ, age matched control群に比し有意の低値であった.またIREとPFD/PABA ratioとの間には有意な相関は認められなかった.
以上より, DMにおける空腹時血清trypsinは膵外分泌機能の指標として有用である.また血清clastasc Iと虚血性心病変合併との間に何らかの関連のある可能性が示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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