糖尿病
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糖尿病の運動療法に関する研究 (第6報)
インスリンクランプ法によるトレーニング効果の検討
佐藤 祐造井口 昭久白石 三思郎坂本 信夫勝亦 紘一
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1983 年 26 巻 7 号 p. 747-754

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抄録

糖尿病における運動療法の長期効果について検討を加える目的で, DeFronzoらのeuglycemic insu1in clamp法を用いてトレーニング効果を定量的に測定した.
正常体型の鍛練者5名と健常対照者6名を対象とし, インスリン, グルコースを持続注入しeuglyccmic insulin clamp法を行った.鍛練者のグルコース注入量 (グルコース代謝量) は10.12±0.38m9/kg/minと非鍛練者の7.20±0.34mg/kg/minより約40%も増大していた (p<0.001).インスリンクランプ中, FFAは鍛練者, 非鍛練者両群とも急速に低下し, 120分後には前値の20%以下 (0.1mEq/l) となったが, グリセロールは徐々にしか低下せず, 120分後も20%低下したにすぎなかった.尿中カテコールアミン濃度は鍛練者, 非鍛練者で差はなく, インスリンクランプ中も有意の変動を示さなかった.
以上の事実は, 鍛練者の外因性インスリンに対する感受性が非鍛練者より有意に増大しており, 運動療法を長期にわたって実施すれば, インスリン依存性糖尿病者のインスリン需要量を低下させうる可能性を示唆している.

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