糖尿病
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糖尿病の病型分類法に関する提案
臨床徴候スコアー化による試み
近藤 溪三家 登喜夫南條 輝志男森山 悦裕坂本 健一里神 永一上田 賀美江本 正直猪尾 和弘宮村 敬
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1983 年 26 巻 9 号 p. 905-911

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抄録

糖尿病のI型とII型を鑑別するため, 種々の徴候因子をスコアー化することによる病型分類法を考案した.集計した35歳以下発症の糖尿病患者161例を, あらかじめ7名の糖尿病専門医の判断によりI型またはII型に病型判定後, 両型における各徴候の偏りを統計的に分析し, I型糖尿病としての特質を示す指数Type I index (TII) を算出した.各TIIは,(1) 糖尿病発見時の年齢: 15歳以下+7, 16~30歳-1, 31歳以上-4,(2) 発見時糖尿病特有の臨床症状の有無: 有+3, 無-5,(3) 2親等以内の糖尿病家族歴: 無+3, 有-4,(4) 初期治療法: 発見6ヵ月以内にインスリン使用+9, それに該当しない-5,(5) 尿ケトン体陽性の既往: 有+9, 無-6,(6) 現時点の体型 (肥満度): 85%未満+6, 85~100%+1,100~115%-2,115%以上-5,(7) 現時点の血糖コントロール状態: poor+4, good or fair-3,(8) 現時点の必要インスリン量 (単位/kg体重/日): 0.45以上+10, 0.30~0.45+7, 0.15~0.30-3, 0.15未満-9であった.以上8項目のTIIの総和 (ΣTII) を全症例につき求め, 当初専門医によりI型またはII型と判断された症例のΣTII値と照合, 解析した結果, ΣTIIが+6以上をI型糖尿病,-12以下をII型糖尿病と規定した.本スコアー化は客観的病型分類法として活用に足るものと考え, ここに提案する.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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