糖尿病
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糖尿病患者のインスリン依存性判定と24時間尿Cペプチド排泄量
松田 文子葛谷 健
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1984 年 27 巻 1 号 p. 65-71

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抄録
糖尿病患者のインスリン依存性と24時間尿Cヘブチド (尿CPR) の関連を検討した. 尿CPRの平均±SD (μg/日) は健常者で74.7±26.3, 食事療法群72, 7±28.1, SU剤治療群61.8±28.3であり, SU群の患者の97%は30以上であった. インスリン治療群の尿CPRは30.3±27.5でSU群に比し有意に低かったがその分布は0から正常範囲まで大きくばらついた. インスリン群をインスリン治療開始の理由により, A群: 急激発症またはケト・アシドーシスを伴ったもの, B1群: 肝疾患の合併, B2群: 重症網膜症や神経障害の合併, B3群: 手術を機会に使用したもの, C1群: 若年発症, C2群: 高度のやせ, C3群: SU剤無効, D群: 使用理由不明のものに細分して尿CPRを比較した. A群は9.2±8.8でSU群に対し有意に低く, 患者の90%は20以下であった. 特に発症1年以上を経過したものでは一層低値であった. B群はSU群と差はなかった. C群はA群より高値であったがSU群より有意に低かった, インスリン使用量と尿CPRとの間には逆相関傾向があり, A群では有意の負の相関をみた. すなわち, 1) 明らかなNIDDM患者では一日尿CPRは30μgをこえた.2) インスリン使用患者のうちインスリン使用理由よりIDDMと推定される患者では20μg以下であった. 尿CPR 20~30μgはIDDMとNIDDMを区別する一つの目安であり, 尿CPRは糖尿病患者のインスリン依存性の判定の一指標となりうる.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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