糖尿病
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糖尿病患者におけるレーザー皮膚血流量測定
畑中 裕司松本 真一郎石川 和夫川崎 富泰窪田 伸三高木 潔丹家 元陽吉村 幸男老籾 宗忠馬場 茂明
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1985 年 28 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

レーザードップラー皮膚血流量計を用いて糖尿病患者の手指皮膚毛細血管血流量 (PBF) を測定し, 糖尿病性合併症との関連を検討した. 健常者120名と糖尿病患者85名を対象として次の結果を得た。
1) 健常者のPBF49.2±7.1%(n=120) に対し, 糖尿病患者では40.5±10.7%(n=85) と有意 (P<0.001) の低下を示した.
2) PBFと糖尿病羅病期間との間には, 有意の負の相関 (r=-0.340, p<0.005) が認められた.
3) 糖尿病性網膜症の進行に従って, PBFの有意の低下がみられた.
4) 糖尿病性腎症とPBFとの関係では, クレアチニンクリアランスとPBFとの間に有意の正の相関 (r=0.505, p<0.001) が認められた.
5) 糖尿病性神経症とPBFとの関係で, PBFは腓骨神経の運動神経伝導速度 (MCV), 腓腹神経の知覚神経伝導速度 (SCV) との間に, 共に有意の正の相関 (MCV: r=0.467, P<0.005, SCV: r= 0.432, P<0.005) が認められた。
以上. 糖尿病性合併症 (網膜症, 腎症, 神経症) の重症度に平行して, 手指PBFの有意の低下を認め, 手指PBF測定が, 糖尿病性合併症の指標の1つになるのではないかと考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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