糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
糖尿病患者における空腹時血清Pancreatic Secretory Trypsin Inhibitor値について
三家 登喜夫近藤 溪里神 永一森山 悦裕南條 輝志男宮村 敬
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 28 巻 1 号 p. 7-12

詳細
抄録

糖尿病患者を対象に, 空腹時血清pancreatic secretory trypsin inhibitor (PSTI) 値の測定意義にっいて, 膵外分泌機能との関連性において検討した.
血清PSTI値はradioimmuneassayにて測定した. 膵外分泌機能の指標としては, PABA吸収試験を併用したPFD (PFD/PABAratio) および空腹時血清immunoreactive trypsin値を用いた。
健常者 (n=136) における血清PSTI値は加齢とともに上昇した, また腎障害を有する者の血清PSTIは高値であった. 1型糖尿病 (n=9), II型糖尿病 (n=77) ともに, 血清PSTI値は, agematchedcontrol群に比し, それぞれ有意な低値であり, II型糖尿病では空腹時血糖値の高い者や, 経ロブドウ糖負荷試験時のinsulin分泌能 (ΣΔIRI120') の低下した者ではより低値となっていた. 糖尿病患者の血清PSTI値はPFD/PABAratio (r=0.24, n=71, p<0.05) や血清trypsin値 (r=0.42, n=86, p<0.001) とそれぞれ有意な正の相関を示した.
以上より, 糖尿病患者における空腹時血清PSTI値は低値であり, PFDや血清trypsin値と同様, 糖尿病における膵外分泌機能低下を検出する指標の1つとして有用であることが示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top