糖尿病
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糖尿病性インポテンス症例の臨床像
非インポテンス群との比較検討
高橋 良当井上 幸子平田 幸正
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1985 年 28 巻 1 号 p. 53-60

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抄録

糖尿病におけるインポテンス患者の臨床像を明らかにし, その原因を追求するため, 多数の患者を対象にして臨床的に比較し検討を加えた.
問診表より,「勃起不十分で性交不能」と答えた糖尿病患者100人 (IMP群) と年齢構成を一致させたコントロール患者 (非IMP群) 100人とを対象にした. 振動覚と深部反射検査にて末梢神経障害を, 心電図RR間隔変動より自律神経機能を検討した. また, 腎盂造影排尿後の膀胱撮影から残尿量を推定し, 弛緩性膀胱とインポテンスとの関連を調べた. さらに, Selhatingdepressionscaleを調査し抑うつ傾向について検索し, 問診表から性欲低下の有無についても検討を加えた.
その結果, IMP群は非IMP群に比べ,
1) 糖尿病罹患年数が長く, 比較的やせていて, インスリン治療者が多い. HbA1値では差はみられない.
2) 糖尿病性合併症 (網膜, 腎, 神経) を多く有し, 心電図RR間隔変動や残尿量から検討した自律神経障害を高頻度に有していた.
3) 抑うつ傾向を認め, 30代から60代の各年代で, 性欲の低下が認められた.
以上の結果から, 糖尿病性イソポテンスは, 糖尿病の合併症として位置付けられ, 原因として, 自律神経障害の関与が考えられた. また, 糖尿病性インポテンス患者では抑うつ傾向や性欲の低下が有意に認められた

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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