糖尿病
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小児インスリン依存性糖尿病のICA陽性頻度と他の自己抗体HLA抗原型との関係
三上 裕平松浦 信夫福島 直樹奥山 承代脇坂 明美新城 孝道
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キーワード: IDDM, ICA, AMA, ATA
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1985 年 28 巻 1 号 p. 45-51

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抄録

インスリン依存性糖尿病 (IDDM) の発症にはウィルス感染と自己免疫機序が大きく関与していると考えられている. そこで, 北海道内で15歳以下で発症した小児IDDMのHLA抗原型, Islet Cell Antibody (ICA) 陽性率, 抗甲状腺自己抗体 (AMA/ATA) 保有率を調べた.
IDDMと正の相関を示すHLA haplotypeとしてHLA-Bw54-DR4-MT3が示唆された. ことにMT3は69例中67例 (97.1%) に認められた。負の相関を示す抗原としてHLA-B5, DR2が示唆された.
ICAは診断から1年以内で50例中22例 (44.0%) が陽性を示し, 罹病期間と共に陽性率はほぼ漸減した.
AMA/ATAは86例中23例 (26.7%) が陽性を示した.
発症から5年以上ICA陽性が持続した10例と, 4年以内に陰性の確認された22例の比較では, HLA抗原型, AMA/ATA保有率に差はなかった.
インスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) では, IDDMへ移行した8例中7例がMT3を保有していた. ICAは15例のうち, IDDMへ移行した4例を含め全例陰性であった.
IDDMはMT3のようなある種の疾患感受性のある者に発症し, その機序には自己免疫の関与していることがうかがわれた. しかし, 病初期からICA陰性で他の自己抗体をもたない患者も多数みられたことは, 自己免疫以外の要因も関与していることが同様に示唆された. また, 持続的ICA陽性が自己免疫性の優位を示すという結果は得られなかった.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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