糖尿病
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25歳未満に発見されたII型糖尿病の遺伝および臨床像に関する調査研究
稙田 太郎梅田 文夫布井 清秀細迫 有昌木戸 靖彦仲村 吉弘中野 昌弘村上 哲志石津 汪伊東 靖夫早川 亨浅野 喬藤原 昇小串 俊雄松尾 栄一
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1985 年 28 巻 2 号 p. 127-135

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抄録

福岡県糖尿病クリニック懇話会において集計された123例の若年者II型糖尿病を対象に, 遺伝と臨床像の多様性を検討した. Fajansらの定義に従い, 25歳未満に発見され, 発病後2年間はインスリン治療を必要とせずコントロール良好であった広義のMODY群 (s-MODY群, N=61) と残りのother群 (N=62) を比較検討した. 両群とも10歳未満の発症は少なく, 14~15歳以降に増加した, other群では口渇, 多飲, 多尿などを初発症状とする者が多いのに対し, s-MODY群では約半数は学校検尿などで発見され, 無症状であった. 遺伝歴に関しては, 発端者の母親の糖尿病はs-MODY群で29.5%, other群で11.3%, 両親のいずれか一方が糖尿病である頻度はそれぞれ47.5%, 21.0%で, s-MODY群が有意に (P<0.01) 高率であった. 同胞間には有意差を認めなかった. GTTにおけるインスリン分泌能は, 罹病期間10年以内ではs-MODY群で良好であるが, 10年以降では耐糖能, インスリン反応とも低下傾向を示した. 糖尿病性網膜症, 腎症および神経障害の進展・増悪は罹病期間に依存し, 10年以上では明らかにs-MODY群で低率であった. 狭義のMODY相当例は, 2年以上経過観察できた若年者II型糖尿病123例中6例に認められた.
結論: 若年者II型糖尿病は遺伝歴や病態の上から少なくとも2つ以上のsubtypeからなるheterogenousな一群であることが示唆される.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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