糖尿病
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下肢近位筋の脱力と萎縮を伴った末端肥大症と糖尿病の合併例
山本 哲郎能登 裕大沢 謙三西村 泰行真田 陽松田 研吾宮腰 久嗣服部 信松原 四郎
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キーワード: 末端肥大症, 筋電図, 筋生検
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1985 年 28 巻 2 号 p. 155-161

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抄録

Diabetic amyotrophyによると思われる下肢近位筋の脱力と筋萎縮を認めた末端肥大症の一例を報告する. 症例は50歳女性で, 25歳頃より顔貌の変化を認めたが, 放置していた. 10年前より歩行障害が出現し, まもなく糖尿病と診断された. 糖尿病の治療により歩行障害は一時軽快したが, その後次第に増悪した. 昭和56年, 腹壁膿瘍の治療時に末端肥大症を疑われ, 金沢大学第一内科入院となった. 身体所見上, 末端肥大症に特有の顔貌および下肢近位筋の萎縮と筋力低下を認めた. 成長ホルモン (GH) 基礎値は, 30から80ng/ml以上と高値を示し, 頭部CTスキャンではトルコ鞍内の腫瘤陰影を認めた. 糖尿病は, 網膜症 (Scott III a), 腎症および神経症を合併しており, インスリン治療を行った. 大腿四頭筋の筋電図および筋生検所見はいずれも筋原性変化と神経原性変化が混在したものであった.
本例の筋病変は, 病歴, 筋電図および筋生検所見よりdiabetic amyotrophyと考えられた. しかし, 末端肥大症においても著しい筋萎縮が認められる例があり, 末端肥大症と糖尿病の合併例で筋力低下, 筋萎縮が認められた場合, その原因を考える上で末端肥大症の関与に十分留意する必要があると思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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