抄録
糖尿病におけるアルドステロン分泌動態を明らかにする目的で, ストレフトゾトシン (以下STZと略す) 45mg/kg腹腔内注射により作製した糖尿病ラットを用い, 副腎皮質刺激ホルモン (ACTHと略す) 負荷試験ならびに副腎灌流実験によるin vito, in vitoの検討を行い, 以下の結論を得た.
(1) In vitoの実験において, ACTH負荷前後の血漿アルドステロン濃度は, STZ糖尿病ラット群と対照群の間に有意差は認められなかった.
(2) In vitoの実験において, ACTH刺激に対する副腎からの直接的なアルドステロン分泌反応は, 糖尿病ラット群が若千低下している傾向はみられたが, 対照群との間に有意差は認められなかった.
以Lより, STZ糖尿病ラットにおいて, ACTH刺激に対するアルドステロン分泌反応はin vito, in vitoともに正常反応を示し, 短期間の糖尿病状態では, ACTH刺激に対する生体内でのアルドステロン分泌反応および副腎からの直接的なアルドステロン分泌は良好に保たれていることが示唆された.