糖尿病
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インスリン投与時間のラット食行動への影響
清水 弘行下村 洋之助高橋 正樹佐藤 則之森 昌朋大島 喜八小林 功小林 節雄田所 作太郎
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1986 年 29 巻 6 号 p. 499-504

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抄録

食行動に及ぼすインスリンの作用を検討した.正常ラットに中間型インスリン (NPHインスリン, 8単位/日) あるいは生食を原則として1日1回, 明期直前 (午前6時, L-NPH群, L-生食群) または暗期直前 (午後6時, D-NPH群, D-生食群) に皮下注射し, 最近開発された群大式行動分析装置を用いて, 食行動の日内リズムを分析し次の結果をえた.
(1), 血糖降下作用: 外因性インスリン投与による血糖降下作用は, L-NPH群とD-NPH群間で著変なかった. (2), 摂食量: L-NPH群はD-NPH群より明期で約5倍, D-NPH群はL-NPH群より暗期で約1.5倍増加し, 1日総摂取量はL-NPH群>D-NPH群であった. (3), 飲水量: インスリン投与時期にかかわらず飲水量は増加したが, その持続時間はL-NPH群>D-NPH群であった. (4), 体重増加量: インスリン注射8日後にすでに体重増加量は, L-NPH群>D-NPH群と明らかであった. (5), 自発運動量: 明期におけるL-NPH群を除いて, 外因性インスリン投与により自発運動量は, 減少した.この自発運動量への抑制効果持続時間は, L-NPH群>D-NPH群であった.
以上の結果からインスリンによる血糖降下作用には大きな差がないにもかかわらず, インスリン注射時期により食行動や自発運動量に差異が認められ, ひいては体重増加にも結びつくことが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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