糖尿病
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糖尿病妊婦治療におけるPrepregnancy管理の成績
大森 安恵嶺井 里美清水 明実東 桂子秋久 理眞佐中 真由実小浜 智子本田 正志平田 幸正
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1986 年 29 巻 8 号 p. 729-735

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抄録

妊娠を希望する婦人に対するPrepregnancy管理は, 妊娠による糖尿病性細小血管障害の増悪を阻止し, 新生児の奇形を予防する試みとして重要である.
昭和53年 (1978年) 1月から昭和59年 (1984) 3月までの問に私たちが行ったPrepregnancy管理の結果を報告する. 妊娠を希望して来院しPrepregnancy管理をうけた糖尿病婦人は, 69症例のべ78治療例であった. 78治療例中IDDM 30例, NIDDM 48例であった. 増殖性網膜症3例, クレアチニンクリアランス34.4ml/minの腎症1例, 精神病1例, 合計5名は妊娠を許可されなかった.
Prepregnancyの管理をうけ, 妊娠を許可されてすでに出産した症例は, 39例 (50%) であった. その39例について, 年齢, 罹病期間, 病型をマッチさせ, コントロール不良のまま妊娠して, 来院した同数の症例を対照として妊娠中のコントロール, 新生児の奇形, その他の合併症を比較した.
Prepregnancyの管理をうけた群も, 妊娠後はじめて紹介されて来院した群も妊娠中の糖尿病のコントロールは全く差がなかった. しかし新生児の大奇形はPrepregnancyの管理をうけた群で全くみられず, 妊娠後来院したIDDMに4児もみられた. 4児のうち3児は奇形が原因で死亡した. 私たちの経験も, Prepregnancy管理は, 大奇形を予防し細小血管合併症をチェックするために重要であることを示した.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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