糖尿病
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小児I型糖尿病例における臓器特異抗体の推移
膵島細胞抗体と抗甲状腺抗体
岡 暢之野津 和巳野手 信哉八板 朗中村 輝久久野 昭太郎鍋谷 登桜美 武彦
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1986 年 29 巻 9 号 p. 827-832

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抄録

現在, I型糖尿病は, 成因からみて3種のsubclassに分類されている.今回われわれは, 日本人I型糖尿病の成因を検討するために, 小児I型糖尿病176例について, 膵島細胞抗体 (ICA), 補体結合性膵島細胞抗体 (CF-ICA), 抗甲状腺抗体 (MCHA), 抗核抗体 (ANA) を測定した.また35例については, 3ヵ年にわたり, これら自己抗体の推移を追跡し, 以下の成績を得た.
1) 小児糖尿病176例におけるICA (CF-ICA) の頻度は, 罹病期間1年未満で66.7%(45.5%) と最も高値を示し, 以後, 罹病期間が長くなるにつれて減少し, 罹病期間10年以上の症例には, ICAおよびCFICA陽性者は存在しなかった.2) 3年間ICA陽性を持続したのは5例であったが, うち4例は経過とともに, 抗体価の低下が認められた.3) ICAは, 小児I型糖尿病発症後4~5年で陰性化する傾向があり, CF-ICAについては, より早期に陰性化する傾向にあった.4) MCHA陽性例は, 3年間その陽性を持続したものの, ICAについては陰性化する傾向があった.
以上より, 日本人I型小児糖尿病例では, ICA持続の面から, 欧米に比し, subclass aに分類される症例が比較的少ないことが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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