糖尿病
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29 巻 , 9 号
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  • 星 晴久, 佐藤 徳太郎, 斎藤 和子, 久門 俊勝, 北風 芳春, 渡部 良一郎, 小林 達, 大木 厚, 吉永 馨
    1986 年 29 巻 9 号 p. 787-793
    発行日: 1986/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    耐糖能障害を伴う手術例について, 術中術後の血糖管理の方法を検討した.症例は151例で, 術前の耐糖能分類で糖尿病型 (以下DM群) 123例, 境界型 (以下B群) 28例であった.原則として手術当日は通常のインスリンや経口血糖降下剤は中止し, 術中はブドウ糖を含まない補液とし, 手術時間が3時間をこえる例ではその後にブドウ糖補液を開始した.術中は30~60分ごとに, 血糖を測定し, 200mg/dlをこえた時点で伊藤のalgorithmによりインスリン持続静注を開始した.長期間経静脈栄養を必要とした40例においては, インスリン持続皮下注法 (以下CSII) に移行した.
    術中ブドウ糖補液を行わずインスリンを使用した例は, DM群22%, B群7%で, 前者は後者の約2倍のインスリンを必要とした.術中ブドウ糖補液を行った例は両群とも約20%で, そのうちインスリン注入を行ったものはおのおの84%, 50%で, インスリン注入速度や術中平均血糖値には2群間で差がなかった.術後早期にインスリン効果の改善がみられ, CSII移行例では単位インスリンあたりのブドウ糖注入量の平均はインスリン持続静注時3.4g/U, CSII時10.1g/Uであった.
    以上より, 短時間の手術では術中ブドウ糖補液を行わず, 長時間の手術では術中よりブドウ糖補液とインスリン持続静注を行い, 術後CSIIへ移行する方法は, 良好な血糖管理ができ, 簡便で安全な方法と考えられる.
  • 宮崎 滋, 内藤 周幸
    1986 年 29 巻 9 号 p. 795-803
    発行日: 1986/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    肥満患者の食事制限療法中に体重減少が徐々に鈍化する適応現象の発現に, 脂肪組織における酸素消費量の変化が関与しているかどうかを検討する目的で, ob/ob系産熱性肥満マウスおよび調節性肥満と考えられる高脂肪食による肥満DD系マウスについて, 個体および脂肪組織の酸素消費量を測定した.個体酸素消費量は, 二酸化炭素吸収剤を入れた密封容器にマウスを入れ, 一定時間に吸収された二酸化炭素量を測定する方法を用い, 個体酸素消費量を単位体重当たりで表した.白色および褐色脂肪組織の組織酸素消費量はBiological oxygen monitor (YSI製) を用いて測定した.ob/ob系マウスでは, 単位体重酸素消費量, 白色および褐色脂肪組織の組織酸素消費量は, DD系マウスよりより低値であり, 産熱性障害がob/ob系マウスの肥満の主因のひとつであるとする従来の考え方を支持する成績と思われた.一方, 高脂肪食を摂食させた肥満DD系マウスでは, 白色脂肪組織酸素消費量は通常飼糧を摂食させたDD系マウスより, より高値であった.高脂肪食肥満DD系マウスに, 高脂肪食の摂食を約半量に制限すると, 体重の増加は摂食を制限しない対象群と同様で, 白色脂肪組織酸素消費量は減少し, 白色脂肪組織ではエネルギー保存の方向にむかっているのではないかと思われた.体内での白色脂肪組織の総量は褐色脂肪組織のそれより明らかに多く, 白色脂肪組織酸素消費量の増減と, 適応現象の発現との関連が考えられた.
  • 岩坂 壽二, 高橋 延行, 小川 明男, 木村 穣, 杉浦 哲朗, 斧山 英毅, 稲田 満夫
    1986 年 29 巻 9 号 p. 805-810
    発行日: 1986/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリンの心ポンプ機能への影響を検討するため, 陳旧性前壁心筋梗塞症35例を対象にRI angiocardiographyによる左室駆出率 (GEF), 梗塞部駆出率 (IEF), 健常部駆出率 (NEF), 左室拡張末期容量 (EDV) を測定し, またほぼ同時期に75gr.ブドウ糖負荷試験を行い, 血糖値 (BS), 血清immmoreactive insulin (IRI) を測定し, その総和、ΣBS, ΣIRIを算出した.Σ8S, ΣBS/ΣIRIはGEF, NEF, IEF, EDVと特に一定の関係を認めなかった.しかしΣIRIはGEF, NEF, IEF, EDVと次式のごとき2次回帰を示し, 統計学上も有意であった.
    GEF=-41.4× (logΣIRI) 2+440.6×logΣIRI-1124.6
    NEF=-42.5× (logΣIRI) 2+448.3×logΣIRI-1122.3
    IEF=-33.4× (logΣIRI) 2+356.0×logΣIRI-914.2
    EDV=89.3× (logΣIRI) 2-950.0×logΣIRI+2623
    すなわちΣIRIが健常者と同程度の200μU/ml前後にある状態では, NEF, IEFともに最も良好に保たれ, EDVも小であった.
    以上, 血中インスリンはある範囲内では心筋収縮性を梗塞部, 残余機能心筋を問わず高め, 維持し, 心筋保護作用を発揮すると考えた.
  • 青木 雄次, 柳沢 康敏, 大房 裕和, 古田 精市
    1986 年 29 巻 9 号 p. 811-818
    発行日: 1986/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    C-peptideの尿細管での再吸収の程度をC-peptide clearance/creatinine clearance比 (CCPR/Ccr) により評価するとともに, 24時間尿中C-peptide (24h-UCPR) をCCPR/Ccrで補正することを試み検討した.
    糖尿病群51名, 対照群6名を対象として, 早朝空腹時にCCPR/Ccrを, またその一両日中に24h-UCPRを測定し, 24h-UCPR/(CCPR/Ccr×10) を24h-UCPRの補正値 (c-24h-UCPR) として検討した.CCPR/Ccrは, 対照群が0.06~0.15であったのに対し, 糖尿病群は, 0.07~0.88と広範囲の値をとった.糖尿病群において, CCPR/Ccrは空腹時血糖とr=0.36, HbA1とr=0.18, 尿中N-acetyl-β-D-glucosaminidaseとr=0.29であり, 空腹時血糖とのみ有意 (p<0.002) の相関を認めた.Ccr 70ml/min以上の群で, c-24h-UCPRは, 24h-UCPRに比し, 朝食前後の血中insulinおよびC-peptideとより強い相関を示した.また, 朝食後の血中C-peptideの上昇部分とc-24h-UCPRとの回帰直線は, Ccr 70ml/min以上の群でY=5.0X+8.4, r=0.82, Ccr 70ml/min以下の群でY=4.7X+5.5, r=0.74となりほぼ同様の結果を得た.
    高血糖, 腎障害などの影響で, CCPR/Ccrは広範囲の値を示した.CCPR/Ccrで補正したc-24h-UCPRは, 内因性insulin分泌量をより忠実に反映し, かつ腎障害を伴う例にも適用されうるものと考えられた.
  • 杉本 英克
    1986 年 29 巻 9 号 p. 819-826
    発行日: 1986/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    血小板由来成長因子 (PDGF) その他の血小板の細胞増殖刺激因子群は, 動脈壁平滑筋細胞などの増殖促進作用を有し, 動脈硬化症の発症と進展の重要因子として注目される.
    著者は糖尿病患者血小板内の細胞増殖刺激活性 (増殖活性) をラット大動脈壁由来の平滑筋細胞継代培養系を用いるbioassayにて検討を加えた.すなわち3H-thymidineのDNAへの取り込み率を, 10%牛血清の増殖刺激活性を100%として破砕血小板上清中の本活性を%で表現した.血糖コントロールが極めて不良なIDDM (n=14) では33.1±2.5%(Mean±SD) と健常対照群 (n=16, 16.5±1.5) に比して有意の亢進 (p<0.001) を認めた.次にIDDM患者を通常インスリン療法からCSIIやPen infuser療法などの強化インスリン療法に3ヵ月間変更し, 両療法における血小板内増殖活性の変動を比較検討した.健常対照群 (n=6, 16.8±3.6%) に比して, IDDM患者 (n=6) では通常インスリン療法時には38.2±14.4%と有意の亢進 (P<0.05) を認めた.さらにCSII療法に変更後19.2±9.2%, Pen infuser変更後は15.7±4.5%といずれも通常インスリン療法時に比較して有意の低下を認めた.
    以上の成績から, 糖尿病における血小板内増殖活性は亢進を示し, これが動脈硬化性疾患合併の重要因子である可能性が示唆された.なお異常亢進した血小板内の増殖活性が強化インスリン療法によって正常化を示す成績は, 血管合併症の発症および進展を本療法で予防し得る可能性を示唆する.
  • 岡 暢之, 野津 和巳, 野手 信哉, 八板 朗, 中村 輝久, 久野 昭太郎, 鍋谷 登, 桜美 武彦
    1986 年 29 巻 9 号 p. 827-832
    発行日: 1986/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    現在, I型糖尿病は, 成因からみて3種のsubclassに分類されている.今回われわれは, 日本人I型糖尿病の成因を検討するために, 小児I型糖尿病176例について, 膵島細胞抗体 (ICA), 補体結合性膵島細胞抗体 (CF-ICA), 抗甲状腺抗体 (MCHA), 抗核抗体 (ANA) を測定した.また35例については, 3ヵ年にわたり, これら自己抗体の推移を追跡し, 以下の成績を得た.
    1) 小児糖尿病176例におけるICA (CF-ICA) の頻度は, 罹病期間1年未満で66.7%(45.5%) と最も高値を示し, 以後, 罹病期間が長くなるにつれて減少し, 罹病期間10年以上の症例には, ICAおよびCFICA陽性者は存在しなかった.2) 3年間ICA陽性を持続したのは5例であったが, うち4例は経過とともに, 抗体価の低下が認められた.3) ICAは, 小児I型糖尿病発症後4~5年で陰性化する傾向があり, CF-ICAについては, より早期に陰性化する傾向にあった.4) MCHA陽性例は, 3年間その陽性を持続したものの, ICAについては陰性化する傾向があった.
    以上より, 日本人I型小児糖尿病例では, ICA持続の面から, 欧米に比し, subclass aに分類される症例が比較的少ないことが示唆された.
  • 三輪 梅夫, 吉光 康平, 瀬田 孝, 京井 優典, 金谷 法忍, 内山 伸治, 佐藤 隆, 河村 洋一, 大家 他喜雄, 林 守源
    1986 年 29 巻 9 号 p. 833-839
    発行日: 1986/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    67歳, 女性でインスリノーマに, +100%前後の顕著な肥満, 脂肪性肝硬変を合併し, 肝性昏睡で死亡したまれな症例を報告する.41歳時の卵巣嚢腫摘出後, 肥満傾向となったが詳細は不明.飲酒, 肝炎, 輸血歴はともにない.1976年, 早朝空腹時に反復する低血糖と血清IRI高値からインスリノーマが示唆された.CT, エコーグラム, 選択的動脈造影などを施行したが, 部位診断できなかった.Turnerの修正指数は常に高値で初診時2571, 以後もおおむね200を超え, 空腹時血清IRI値の最大は437μU/mlに達し, Cペプチドも空腹時に4.2から9.5ng/mlと著しい上昇を示した.他の内分泌異常や視床下部腫瘍を示す所見は認めなかった.血中ガストリン値は正常であった.一方, 肝脾腫の存在, 血中諸酵素の異常のほかICG処理能の低下などから, 当初より肝硬変の合併が疑われた.浮腫, 全身倦怠, 食思不振などが持続し, 5回の入院を繰り返したが, その都度血清総たん白, コリンエステラービ値は漸減し, それぞれ4.6g/dl, 0.15-ΔpHにまで下降した.1981年頃から血中アンモニアが増加し, 羽ばたき振戦を伴ってきた.1984年1月肝性昏睡から急性腎不全を併発し死亡した.剖検の主病変は (1) 脂肪性肝硬変と (2) インスリノーマで, 後者は12×10×10mm, 10×10×8mmの2個でそれぞれ膵体, 膵頭部に位置した.本例での著しい肥満, 脂肪性肝硬変の成立にインスリノーマによる高インスリン血症の長期持続が関与したと推測した.
  • 野村 誠, 鮴谷 佳和, 斎藤 雄二, 八木 稔人, 向井 光佐子, 河盛 隆造, 七里 元亮, 鎌田 武信
    1986 年 29 巻 9 号 p. 841-847
    発行日: 1986/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    度にわたり完全寛解を得たI型糖尿病症例の報告は, これまで皆無である.私たちは, 糖尿病性ケトアシドーシス昏睡にて急性発症し, その後人工膵島をはじめとする厳格なインスリン療法によりすみやかに完全寛解導入し得た症例について7年間のfbllow upを行った.その期間中に, さらに2度にわたりICSAの陽性化とともに, 尿ケトン体, 多量の尿糖高血糖が出現し, 糖尿病急性増悪を認めた.それぞれ入院後, 厳格な血糖管理によりICSA陰性化, 糖尿病完全寛解導入を得た。本症例にてICSAの推移とインスリン分泌能の変遷の関連性を追求した.
  • 山本 登士, 秋吉 恵介, 小野 順子, 佐々木 悠, 浅野 喬, 奥村 恂
    1986 年 29 巻 9 号 p. 849-855
    発行日: 1986/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    躯幹に疼痛を訴える糖尿病者にcarbamazepine (CBZ) 投与中, 低Na血症に気づきその原因究明のため種々な検討を行った.
    症例は糖尿病歴8年の39歳男性.躯幹部の疼痛を主訴に入院CSIIによるinsulin療法とともに, 疼痛軽減のため9日間CBZ (400mg/日) を投与したところ, 全身倦怠感, 食欲不振などの症状とともに, 血清Na 118Eq/L, 血漿浸透圧244mOsmとなった (尿中Na排泄量75mEq/日).しかし, これらの異常は, その後の水制限 (500ml/日) で正常化し, SIADHの存在を疑った.低Na血症発症直後と回復期の2回施行したADR分泌抑制試験 (水負荷試験) では, ADH反応は十分抑制されない奇異な反応を示し, 尿量も負荷量の25%, 35%と異常に少なく, 利尿不全を示した.また, ADH分泌刺激試験 (高張食塩水負荷試験) においても, 血漿浸透圧が310mOsmを越えて初めてADH分泌反応が見られた.測定しえた血漿ADH値と血漿浸透圧との間にはまったく相関が認められなかった.
    これらの成績は浸透圧, 容量および圧受容体を介するADH反応系が水代謝を調節する上で, 制御統合されていないことを示しており, 背後に糖尿病性自律神経障害に基因する要因が示唆された.また, CBZ投与によりこれら異常が顕性化され, SIADHを誘発した可能性も否定しえなかった.
  • 1986 年 29 巻 9 号 p. 857-878
    発行日: 1986/09/30
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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