糖尿病
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糖尿病患者の尿中Glucosylated Albumin排泄と腎機能および血糖コントロールとの関係
生水 晃西川 光重稲田 満夫
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1987 年 30 巻 3 号 p. 201-207

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抄録

糖尿病性腎症発症における組織glucosylationの影響を臨床的に知る目的で, 24時間尿中glucosylated albumin (GA) 排泄量を測定し, それと腎機能および血糖コントロールとの関係を検討した.
糖尿病患者36例を24時間尿中albumin排泄量により, A群 (150mg以下) 22例, B群 (150~1000mg) 5例およびC群 (1000mg以上) 9例に分けた.正常者およびネフローゼ症候群患者 (ネフローゼ群) を対照とした.血清および尿中GA量は, 主に, TBA法で測定した.
血清GA (nmol5-HMF/mg albumin) は糖尿病患者で, 正常者に比し有意に高値であったが, 尿中GA (nmol 5-HMF/mg albumin) は糖尿病患者で逆に低値であった.そこで, 尿中GA/血清GA比をみると, 正常人で7.7±4.4とGAが優位に尿中に排泄され, 糖尿病患者およびネフローゼ群で, この比は低下し, 特に, 腎機能の低下とともに低下する傾向を示した.ここで, 定性的に尿蛋白陰性のA群で, すでに, 尿中GA/血清GA比が2.4±1.6と低下したことは注目すべきで, さらに, A群において, 血清GAとこの比の間に有意の負相関を認めた.また, 発症後約3ヵ月以内に, 尿中GAを測定し得たI型糖尿病患者で, 尿中GA/血清GA比が0.98と低下した.
以上の成績は, 尿中GA排泄の選択性の維持よりみて, 糖尿病性腎障害の進展防止に, 血糖コントロールの重要性を示すものである.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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