糖尿病
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インスリン非依存性糖尿病における血漿遊離アミノ酸代謝異常とその臨床的意義
とくにFischer比の変動から
加納 隆越野 陽介
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1987 年 30 巻 6 号 p. 511-517

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抄録

インスリン非鮪性糖尿病 (NIDDM) 31例を対象として早鯉腹時における藤灘アミノ酸を測定し, 空腹時血糖 (FPG), HbA1c, コントロールの良否, 合併症の有無と対比することにより, その臨床的有用性を検討した. その結果, NIDDMでは健常者に比し分枝鎖アミノ酸 (BCAA) の有意な増加が認められ, さらにBCAAと芳香族アミノ酸 (AAA) のモル比 (Fischer比) はFPGおよびHbA1cと有意な正相関を示した. また, Fischer比はコントロール良好群に比し不良群では有意な高値を示した. さらに, 治療により良好なコントロールにするとFischer比はFPGおよびHbA1cの改善に並行して正常化した. また, Fischcr比は合併症とくに腎症を有する症例では非合併例に比し有意な高値を示した. 以上より, Fischcr比は蛋白・アミノ酸代謝面からのNIDDMのコントロールの良否を良好に反映する指標になり得ると考えられ, 日常臨床上, 血糖およびHbA1cと併用することにより, より厳密なNIDDMのコントロールが可能になり, これにより合併症の発生あるいは進展が回避でき得ると考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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