糖尿病
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長鎖および短鎖脂肪酸存在下の肝ケトン体産生に及ぼすGlcagonとDibutyryl Cyclic AMPの作用
鬼頭 柳三堀田 饒角田 博信木村 雅夫深沢 英雄洪 尚樹榊原 文彦中村 二郎松前 裕巳坂本 信夫
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1987 年 30 巻 6 号 p. 519-527

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抄録

Insulnとglucagon両ペプチドホルモンの糖尿病性ヶトアシドーシスに及ぼす影響の大きいことが強調され, それらの肝ケトン体産生に果たす役割の重要性が指摘されているものの, glucagonの作用メカニズムはいまだ確立されていない. そこで, 肝ケトン体産生に果たすglucagonの作用がcyclic AMPを介するものか否かを明らかにする目的で, ラット摘出肝灌流実験手技を用い検討を加えてみた.
飽食正常ラットを用い, oleate, octanoate, glucagon, dibutyfyl cyclic AMPを適宜組み合わせ, 既報通りの実験手技にて肝灌流実験を行った. Glucagonはoleateで増加した肝ヶトン体産生を相乗的に促進したが, octanoateでは促進効果を発揮しなかった. Dibutyryl cyclic AMPはglucagonとは異なりolcate, ioctanoateいずれに対してもケトン体産生を顕著に促進した. Emeriamineはoleateを前駆物質とする肝ケトン体産生を強く抑制したが, octanoateを前駆物質とする場合には抑制しなかつた.
以上より, 肝ケトン体産生におけるglucagonの作用点がCarnitinea CyltransferaseIを介する系に存在し, かつ, このホルモン作用が必ずしもcyclicAMPを介した作用ではないかもしれないこと, そしてdibutyryl cyclic AMPの脂肪酸存在下の肝ケトン体産生促進メカニズムは, mitochondria膜のcamitineacyhransferaseI以降の代謝過程に存在するかもしれないことが示唆された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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