毛髪蛋白glycation測定をIDDM発症時期の証明に用いうる可能性を検討した.
病歴, HbA1cの成績から, 発症時期の明確な16歳女性のIDDM症例の毛髪glycationをlysineのε-amino基にgiucoseが結合して生成されたfructose-lysine (Amadori化合物) を酸性加水分解して得られるfurosineで測定した. 発症後3, 5, 9か月の時点で採取した毛髪を用いても, 毛髪の成長速度を考慮すると, IDDMの発症以降に成長した毛髪の部分でfurosine値は高値を示した.
以上, 毛髪glycationは過去の任意の時点, あるいは過去の連続した時点の血糖状態を反映するため, IDDMの発症時期の判定にも有用な新指標となることを確認した.