糖尿病
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糖尿病性腎障害進展におけるネフローゼ症候群の意義
大塚 和子吉田 政彦小出 輝
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キーワード: 眼底所見, 高脂血症
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1988 年 31 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

当科に入院し糖尿病性腎症と診断した63例を対象に, 予後に関する臨床的検討をした.臨床的因子のうちネフローゼ症候群 (NS) に注目し, NSと血液透析 (HD) 移行の有無により全体を4群にわけ, 糖尿病発症から腎症発現まで, 腎症発症からHDまでの期間の相互関連を検討した.NS以外に高脂血症, 高血圧, 眼底所見についても検討した.NSを呈しHDに移行した群は腎症発症からHDまで3.6±2.4年, NSから1.2±0.8年であり, NS発症から3年以内に100%がHDに移行した。非NSでHD移行群の腎症発症からHDまでは7.3±7.3年であり, 10年以上にわたる例もみられた.高コレステロール血症はHDに移行した群で合併率が高かった.眼底所見はNSを呈した群でScott III以上を示す例が多かった.高血圧の合併率は4群で差がなかった.以上の結果から, 糖尿病性腎症の予後に, NSは重要な因子となると考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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