糖尿病
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ヒトインスリンに対して皮膚アレルギーを呈した特発性ヘモクロマトーシスの1例
池田 昭夫生山 祥一郎藤井 貞人瀬戸口 洋一尾崎 岩太高柳 和弘山本 匡介苅家 利承堺 隆弘
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1988 年 31 巻 11 号 p. 869-874

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抄録
症例は61歳女性.鉄過剰摂取や輸血の既往なし.55歳時に肝硬変.59歳時に糖尿病を指摘され, 食事療法および経口血糖降下剤を開始したが血糖コントロールは増悪し, 60歳でヒトインスリンを開始した.開始2週間後から注射部位に著明な発赤が出現し, 高血糖も改善しないため当科に入院した.入院時125I-インスリン結合率95%, 皮内反応はウシ, ブタ, ヒトィンスリンのいずれに対しても強陽性を示した.血糖コントロールはヒトインスリン62単位/日で改善したが, アレルギーはむしろ増悪したため, デキサメサゾン0.06mg/日を併用局注し徐々に軽快した.肝組織鉄量が963μg/100mg・乾燥重量と著明高値で, 同胞にも同疾患が存在したことから特発性ヘモクロマトーシスと診断した.経過中潟血, デスフェリオキサミン筋注によりインスリン必要量は44単位/日まで減少した.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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