1988 年 31 巻 12 号 p. 917-921
経口血糖降下剤 (以下SU剤) 二次無効と診断されインスリン治療に変更後なお良好な血糖コントロールの得られないII型糖尿病患者15例を対象に, インスリンとSU剤を併用投与しその利点について検討した.患者は入院のうえ適正な食事と運動療法のもとで中間型インスリンを朝1回投与し, 低血糖 (80mg/dl以下) をきたさぬよう血糖コントロールを試みた.2週間観察の後Glibenclamide経口投与を加え, 低血糖をきたさぬようインスリン量を調節し, さらに2週間観察した.インスリン・SU剤併用療法では, インスリン単独治療と比較すると空腹時血糖が有意に低下し, HbA1c, 1日尿糖排泄量が減少した.血糖コントロール状態を示す指標のM値は, インスリン単独治療時の27から, 併用後は15へと有意 (p<0.01) に改善した.今回の成績から, インスリン注射を必要とするII型糖尿病患者のなかに, インスリン・SU剤併用療法がより有効であると期待できる例も存在すると考えられる.