糖尿病
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インスリン非依存型糖尿病合併症における補体の変動
森本 康男谷口 洋山城 有機江尻 一成馬場 茂明有本 保文
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1988 年 31 巻 5 号 p. 407-412

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抄録
インスリン非依存型糖尿病 (NIDDM) における合併症の進展と補体との関連をみるために, NIDDM50名 (合併症なし31名, 糖尿病性網膜症5名, 糖尿病性神経障害7名, 糖尿病性網膜症および神経障害7名) および健常人27名のCH50, ACH50, C3, C4を測定し, また補体変動の意義を知るためにC3分解産物C3dも合わせて測定した.
NIDDMではCH50, C3, C4は健常人27名に比べて有意に増加していたが, CH50, C3はNIDDM間においては合併症の有無による変化はほとんど見られなかった.一方C4は糖尿病性網膜症と糖尿病性網膜症および糖尿病性神経障害の両方を持つものは, 合併症のないものにくらべて高値を示した.ACH50はNIDDMと健常人に有意な差はなく, またNIDDM間でもその合併症の有無との関連は認めなかった.C3dも同様であった.C3d/C3は合併症のない糖尿病者では低下が見られたが, NIDDM間ではその合併症の存否にかかわらず有意差はなかった.
以上よりNIDDMはで高補体を示し, alternative pathwayよりむしろclassical pathwayの関与が強く示された.またNIDDMにおいては, 補体の代謝遅延がみられたが, その合併症の進展には, 補体の産生亢進の関与が示唆された.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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