糖尿病
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糖尿病患者における血糖コントロール時のプロスタノイド, 血小板機能の経時的変化
小野 百合加藤 雅彦対馬 哲工藤 守中川 昌一
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1989 年 32 巻 10 号 p. 755-760

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抄録

糖尿病患者において, 急速, 厳格な血糖是正により網膜症が進展することをしばしば経験する.前回, 血糖を低下させた群では, 血糖の安定した群に比し血小板凝集能が亢進しており, このことが網膜症の進展と関連が深いことを報告した.今回, 未治療または長期間高血糖の糖尿病患者19名を対象とし, 血糖コントロール前, コントロール後約3, 6週後にかけ経過を追って, 血糖低下時のプロスタノイド, 血小板凝集能の変化を検討したので報告する.
同一症例における経時的観察では, 血糖是正に伴い全ての血小板凝集能および血漿thromboxane B2 (血漿TXB2) は始め有意に上昇し, その後再び低下し最終的にほぼ前値に復した.一方血漿6-keto-PGF2α (血漿PG) は血糖低下に伴い上昇し, その結果血漿TXB2/PG比は経時的に低下した.この際, 血糖コントロール後3週後に血糖の低下が大きい者ほど, 血漿TXB2の上昇率も高く (p<0.02), これは血糖が速く低下した者ほど網膜症などの合併症の出現率が高いことと関連がある可能性を示唆した.

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